八甲田の心霊



 東北の深い自然に囲まれた八甲田山は東北を代表する観光スポットであると同時に日本有数の心霊スポットであるとも言われています。心霊スポットとして有名なのが八甲田北東部の横内地区にある雪中行軍遭難者銅像周辺と八甲田西部の城ヶ倉大橋の2箇所ですが、この2箇所で過去に何があり、現在どのような出来事が起きているのかご紹介していきます。


八甲田 雪中行軍遭難事件


八甲田雪中行軍遭難者銅像 八甲田雪中行軍遭難者銅像は明治35年に八甲田山で発生した199人もの犠牲者をだした史上最悪の山岳遭難事故である「八甲田雪中行軍遭難事件」の遭難事故現場周辺に建てられている銅像です。付近には銅像茶屋と呼ばれる休憩所もあり夏場は多くの人が立ち寄る観光スポットです。

主な心霊現象

八甲田 心霊写真 雪中行軍遭難者銅像が心霊スポットとして知られるようになったのがテレビ番組の心霊特集で、この時銅像に向けてカメラを設置して一晩おいたところ多数の人影のようなものが映っており話題となりました。写真は分かりやすいように特殊加工をして人影らしきものを浮かびあがらせていますが、実際の動画を見た方がしっくりくると思います。

心霊動画https://www.youtube.com/watch?v=jAvJtXytd6I

 またあくまでも噂ですが夜中に銅像がある銅像茶屋へ行くと(カップルや走り屋の方が)一定のリズムでこちらに進んでくる大勢の人の気配や音を感じる事がよくあるのだそうです。特に銅像茶屋の駐車場脇にある古いトイレは以前より複数の体験談が報告されています。
  



実際はどうなの?

 ネット上に投稿されている雪中行軍に関係する恐怖の体験談は八甲田とはいえ遭難現場とは関係のない場所での出来事も多く、地理的に辻褄の合わない部分も多々あるので全てを鵜呑みにできません。
 しかし八甲田で過去に200名近くの犠牲者がでた遭難事故が発生したことは間違いのない事実でありますし、犠牲者200名という数字は日本でよく知られている心霊スポットの中でもトップクラスで雪中行軍遭難現場で心霊現象が多発しても不思議ではありません。
 ただし報告されている心霊現象がすべて夜中に発生している事や昼間は何事もなく観光地として多くの人で賑わっていることなどを考えれば極端に恐れおののくようなスポットではないような気もします。ただ個人的には雪中行軍遭難者像を訪れた際には馬鹿騒ぎなどせず亡くなった英霊の方々に対して手を合わせるくらいの気持ちはもってもらいたいと思います。
 なお大正・昭和初期の新聞には陸軍が八甲田で冬期訓練中に吹雪に遭遇し露営テントを張るとテントの外から大勢の話し声や「隊列右」などといった掛け声が聞こえてくることがあるという記録が残されています。

城ヶ倉大橋


城ヶ倉大橋 八甲田における交通の難所であった城ヶ倉渓谷。青森県の東西を結ぶ最短経路であったことから昔から多くの旅人が渓谷を渡り、また命を落とす方も沢山おられました。そんな交通の難所に橋が架かったのが平成7年。城ヶ倉大橋と名付けられたこの橋は高さが122mもあり、遠く青森市を見渡せる眺望スポットとして知られるようになりました。そしてもうひとつ有名なのが「飛び降り自殺の名所」であるということ。訪れた人を何者かが谷底に引き込むのか、はたまた意を決した人が最期の地として選ぶのか?今では地元の人は誰でも知っている有名な心霊スポットなのです。

主な心霊現象

 城ヶ倉大橋は下を覗き込むと谷底に引きずり込まれると噂されており、橋自体も夜中になると霊らしきものが彷徨っているといわれています。実際に橋の上を歩いてみると確かに美しく見事な眺望の割には少々物寂しげな様子が漂ってきます。


実際はどうなの?

城ヶ倉大橋 多くの方が飛び降り自殺をしているというので、地元の図書館に行き過去の新聞を調べてみたのですが実際に飛び降り自殺をしたという記事を見つけることはできませんでした。ご遺族の意向などもあり自殺された方全てが新聞に載るというわけではないと思いますが、地元の方が口をそろえて「飛び降り自殺の名所」という割には実際にその記事が皆無というのは少々不自然なような気もします。
 ここから先は筆者の個人的な感想ですが過去に城ヶ倉大橋から飛び降り自殺をされた方は実際にいたとは思います。ただしその数はあまりに誇張されすぎているのではないでしょうか?皆が言うほどの自殺の名所であれば実際現地に慰霊の花束や自殺を思いとどませる看板などあってもよさそうですが、筆者は見つけることができませんでした。城ヶ倉大橋は八甲田でも有数の眺望スポットで、特に紅葉の時期は絶景でその眺めを見に長い渋滞が発生するほどです。過去に不幸な出来事があったかもしれない場所ですから上記の雪中行軍遭難者銅像のように馬鹿騒ぎや悪ふざけのたぐいは控えてもらいたいと思いますが、だからといって訪れるのを控えるというのもいかがなものかと思うのです。



八甲田山は心霊スポットなの?


 さてここまで八甲田山の心霊現象についてご紹介してきました。内容は少々心霊に対して否定的だったと思います。ですから「そんなに怖がる必要ないじゃん」と思われる方も多いと思いますがそれは半分正解で半分間違いです。正確には昼間は存分に八甲田の自然を楽しんでください。ただし心霊スポットとされる所では節度ある行動をしてもらいたいですし、遊び半分で真夜中には近づいたりはしない方が無難です。多くの心霊体験が真夜中の出来事として報告されていますし、八甲田のような偉大な大自然は元来夜中は昼間とは別の世界となり人間が軽々しく足を踏み入れるような空間ではないと思うのです。

 なお最後に現地の図書館で八甲田の新聞記事を調べていた時、興味深い記事を見つけたのでご報告しておきます。

2014年5月 東奥日報より

「青森市駒込深沢にある別荘の固定電話から消防へ通報があった。しかし、通信状態が悪く、電話の向こう側から声は聞こえなかった。一刻一秒を争う事態かもしれない―。青森消防本部は発信場所を特定し、消防署員ら10人が、40分ほどかけて現場に到着。しかし、辺りは真っ暗で家はしっかりと戸締まりがされており、窓ガラスを割り中を調べたが家の中に人影はなく傷病者も見当たらなかった。なお発信元と確認された黒電話の受話器は置かれたままだった。」

筆者追筆
 当該場所は199名の犠牲者をだした雪中行軍遭難事件にほど近く、昔から真夜中に白い光や兵士の姿を見たという目撃談が絶えない場所なのだそうです・・・・。