三陸海岸のドライブ
三陸海岸は絶好のドライブコースとしても人気がある地域です。個人的に特にお勧めの区間は宮古、釜石地区から
松島にかけての区間です。この区間は国道45号線と海とがほぼ同じ高さにあり、三陸海岸の景勝美を眺めながらドライブを楽しむことができます。また宮古市から北の区間については隆起海岸となっているので国道の標高が高く、急勾配、急カーブが比較的多くドライブには少々気を遣いますが、所々で視界に飛び込んでくる断崖の上からの三陸の眺めは南三陸方面とは違った魅力を感じることができます。
ドライブのコースと時間
一言に「ドライブコース」といっても三陸海岸の総延長は400km。各地に点在する観光名所には立ち寄らず1日車を走らせれば走破できる距離ですが現実的ではありません。そこで本ページでは三陸海岸を主な交通の要所間で区切りその各コースの光景や特徴をご紹介していきます。
なお三陸海岸は、南北に走る国道45号線及び現在順次開通している三陸自動車道がメインのドライブコースとなります。また三陸海岸へのアクセスは東北自動車道と三陸海岸との間にある「北上山地」の影響で東西に走る道路が限られています。主な玄関口は
仙台市、
気仙沼市、釜石市、宮古市、
八戸市となっていますのでこれらの街を起終点に南側から各ドライブコースをご紹介していきます。
仙台〜松島〜気仙沼
走行距離 約150km
東北最大の都市仙台から国道45号線を北上すると松島の手前、塩竃市付近から三陸海岸らしい光景が広がってきます。塩竃市は
塩竈神社や塩釜魚市場が有名。また松島はいわずと知れた日本三景のひとつです。気仙沼市はその昔東洋一の漁港だった街。東日本大震災では大きな被害を受けましたが現在は魚市場も復旧し活気ある港町へと進化し続けています。
気仙沼〜釜石〜宮古
走行距離 約120km
気仙沼をすぎると「これぞ三陸」といった光景が連続して登場します。宮古市から南側は海岸線が沈降してできた海岸なので、瀬戸内海のような光景となっており道の駅や直売所の数も多くなり買い物もドライブの楽しみのひとつとなります。
なおこの地域は東日本大震災時には特に大きな被害のあった所で、現在もその爪痕は至る所で確認できますが観光・ドライブは問題なく楽しめます。
宮古〜久慈〜八戸
走行距離 約140km
宮古市をすぎると段々道路の標高が高くなり、今まで運転席の高さにあった海岸線が眼下に見えるようになってきます。これは三陸海岸の南側が沈降海岸であるのに対して北側が隆起海岸であるからで、
北山崎や
鵜の巣断崖といった数百m級の断崖が続きます。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」でお馴染みとなった
久慈をすぎたあたりから標高もだんだん低くなり、北の玄関口である八戸市付近までくると断崖は姿を消し三陸海岸も終わりとなります。
三陸海岸の光景
山田湾
国道45号線から見た山田湾。写真は少々古いですが震災の翌年2012年のもの。すでに養殖筏が湾内に浮かび、津波の被害を受けたとは思えないほどのどかな光景です。しかし山田地区はもっとも津波の被害が大きかった地区のひとつでもあります。
普代村周辺
三陸海岸普代村周辺の光景。普代村周辺は国道45号線よりさらに海側に県道44号線 通称「陸中海岸シーサイドライン」が整備されており、ドライブを楽しむのであればこちらの県道を走行した方が楽しめます。
三陸海岸のやませ
三陸海岸に吹き付ける「やませ」。車でドライブ中偶然目撃し携帯電話のカメラで撮影しました。陸地に覆い被さるように伸びている白いパイプのようなものは雲ではなくて海から吹き付けられた濃霧。やませは春から夏にかけて三陸海岸沿岸に吹き付け、昔は冷害をもたらすとして人々に恐れられてきました。
断層
三陸海岸の断層。幾層もの断層が海に向かって落ち込んでいる。三陸海岸北部ではこのような光景をよく見かけます。三陸海岸の地形は北部は陸地が隆起して、南部は沈降してできたと言われています。
リゾートホテル
田野畑村の羅賀(らが)にあるリゾートホテルホテル。三陸海岸を代表するリゾートホテル。東日本大震災で大きな被害を受け個人的に心配していましたが見事営業を再開し、現在は
サッパ船乗り場も設けられています。
遊覧船
田野畑村の港から出港する遊覧船。
鵜の巣断崖方面に向かう船。
北山崎や鵜の巣断崖は海上からの眺めもまた格別。陸地からは見ることができない三陸沿岸の奇岩、絶景を見せてくれます。
三陸海岸の遊覧船は田野畑港から出港して北山崎や鵜の巣断崖を周遊するコースと、
浄土ヶ浜から出港して宮古湾や浄土ヶ浜周辺を周遊するコースがあります。
共に東日本大震災の津波では大きな被害を受けましたが現在は両航路とも復旧し震災前の状況に戻っています。
なお各遊覧船の詳細については別途「
浄土ヶ浜 遊覧船」及び「
北山崎断崖クルーズ」のページをご参照下さい。
震災後の状況
東日本大震災時、三陸海岸はもっとも大きな被害を受けた地域です。震災直後は唯一の国道である45号線も通行止めとなり交通インフラが麻痺状態となりましたが、幸いなことに落橋やトンネルの崩壊といった致命的な被害は軽微であったことや、まず最初に45号線を復旧させないと犠牲者の捜索やがれきの撤去といった作業ができないこと等の理由によりただちに走行可能となりました。
当初は迂回路だらけだった45号線ですが現在は本復旧も進み、震災以前の状況となり問題なくドライブを楽しめる状況となっています。
また被災者の方々の心情ですが、震災初年度は興味本位で訪れる人も多く一部社会問題となったりもしたのですが、復旧も進み三陸復興の為には他所から訪れる観光客の力も必要であることから、今では積極的に観光PRに取り組んでいます。東日本大震災は決して過去の出来事ではなく現在も苦悩している方々がいるのも事実です。ただだからといって観光で訪れるのをためらう必要はなく、三陸復興の為に大いに楽しみ買い物をして下さい。