三輪山・大神神社

　三輪山（みわやま）は奈良盆地の南東部にある円錐形の美しい姿をした標高467.1mの山で、2015年にはJR東海のCMに使用され注目を集めました。この三輪山は｢三諸の神名備（神が鎮座する場所の意味）｣と称され、古より信仰を集めてきた聖なる神の山です。この為、山内は一木一草まで神が宿るとされ伐採は禁止されており山一面は神代の時代から続く原生林に覆われています。
　一方大神神社（おおみわじんじゃ）は三輪山そのものを御神体とする神社で三輪山西側に鎮座しています。本殿を持たずに拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという神道における原初の信仰の様を伝える日本最古の神社のひとつとされています。もともとは拝殿もなかったものと推測されていますが（つまり鳥居しかなかった）、鎌倉時代に創建され江戸時代に徳川四代将軍家綱により再建され現在にいたっています。なお大神神社は古代神道の流れを今に伝える古社であるとともに神仏習合の影響も色濃く受けており｢三輪明神｣と呼ばれることもあります。ちなみに大鳥居前の案内石碑には三輪明神と記されています。

　三輪山は位置的には初代天皇である神武天皇がはじめて都を造ったとされる橿原市や、飛鳥時代に都がおかれた明日香村等から見て4～5kmほど北東にあります。
　周辺には大規模な古墳がいくつも存在し、なかには第10代の崇神天皇（行灯山古墳）や第12代の景行天皇（渋谷向山古墳）のものと伝わる古墳も存在していることから、古墳時代には後の大和朝廷に通じる勢力がこの地を治めていたと推測されています。また言い伝えでは崇神天皇が都をおいた所がこの三輪山の麓だったとされています。

※古代大和政権は天皇の代が変わる度に都を遷していましたが、その移動距離は数キロほど、当時の人口も少なかったことから、イメージ的には多くの人々や施設が移動する平城遷都のような大規模なものではなく、天皇の住まいを移す程度のものだったと推測されています。

大神神社公式ＨＰ→三輪明神　大神神社

時間・参詣時間

　大神神社　境内の参拝に要する時間は30分ほど。また境内の参詣時間は自由となっています。ただし登拝時間及びお祓いやお守りの授与時間は決まっておりそれぞれ以下のとおりとなっています。また参詣そのものは無料で自由に出入りできます。

登拝時間

　登拝とは御神体である三輪山に入山し参詣することで詳細については別途｢三輪山の登山｣のページをご参照下さい。

登拝時間　9時～14時

登拝に要する時間　往復約2時間

ご祈祷・お守りの授与

9時～17時まで　拝殿向かって左側で受け付けています。

初詣

　大神神社における正月三が日の初詣客数は約50万人。これは奈良県においては橿原神宮の100万人、春日大社の50万人に並ぶ初詣数です。ただし大神神社の境内自体は狭い為、その混雑度は他の2社とは比べものにならないほど。
　この為、安全確保の為に入場規制が行われ三輪駅や駐車場から長い行列ができ、毎年の初詣における風物詩となっています。
　もしこのような混雑をさけたいのであれば、大晦日・元旦を避けた正月後半の午前中早い時間帯に初詣に訪れるしかないのが現状です。

※大神神社は終日参詣可能。また正月期間中はJR桜井線も特別ダイヤで運行されます。
　

鳥居

　大神神社の特徴をあらわすもののひとつとして鳥居があります。大神神社の鳥居は国内最大級の大鳥居と日本古来の信仰を伝える｢三ツ鳥居｣と2種類の特色ある鳥居がありますのでそれぞれ以下にご紹介していきます。

大鳥居（一の鳥居）

　大神神社の大鳥居は社殿からJRを挟んで反対側にあり高さ32.2m、柱間は23m。この規模は車道を跨ぐ鳥居としては日本一で昭和天皇の御親拝を記念して昭和61年に建てられました。

三ツ鳥居

　三ツ鳥居は大神神社拝殿の奥にある鳥居です。通常鳥居は拝殿の前にあり、鳥居をくぐって御神体、つまり拝殿や本殿を拝むのが一般的です。大神神社は背後の三輪山が御神体であり、古来三ツ鳥居を通して三輪山を拝んでいました。後世になり拝殿が造られましたが三ツ鳥居は神域と俗世を隔てる神聖なものとして扱われ拝殿は鳥居の前に設けられ現在のような配置となりました。
　また三ツ鳥居は明神鳥居の両脇に小さな鳥居がついており、中央には両開きの扉が設けられています。このような構造の鳥居はほとんど例がなく、古代信仰を今に伝える構造物として国の重要文化財に指定されています。
　なお三ツ鳥居での参詣は参集殿で申し込み行うと案内してもらえますが、写真の撮影は不可となっています。本ページに掲載されている三ツ鳥居の写真は大神神社の摂社である「檜原神社」の三ツ鳥居を参考として掲載しています。