奈良公園の見所・歩き方



奈良公園 奈良公園は660ヘクタールの広大な歴史公園。関西方面への修学旅行や奈良観光の定番コースとなっており、おそらく日本人であれば誰でも一度は訪ねた事があるであろう超有名スポットです。奈良県民を対象としたアンケート調査でも「奈良観光で外せない観光スポット」で常にNo1に選ばれています。
 見どころは天平文化を今に伝える東大寺春日大社興福寺と3つの世界遺産の他に若草山や春日原生林がありますが、一番の魅力は公園内を我が物顔で闊歩する鹿でしょう。特に幼い子供連れの観光客や外国人観光客には人気があるようです。
 なお奈良公園は歩き方が少々難しい所です。公園内は広く見所も点在していますので、各スポット間の移動は車が一番楽だとは思いますが、混雑する土日祝日は各駐車場に必ず駐車できる保証はありませんし、徒歩の場合は公園の広さが災いします。個人的にはレンタサイクルが一番手っ取り早いと思うのですが、人混みの多さから敬遠されがちなのか利用している人をあまり見たことがありません。しかし比較的人混みが少ない平日などはレンタサイクルを利用して公園内を移動してみるのも一案だと思います。 


目 次

奈良公園の時間
奈良公園の光景
若草山
なら燈花会
もらって喜ばれる奈良公園のお土産 
奈良公園のベストシースン



奈良公園の時間


開園 時間

 奈良公園は「公園」といってもはっきりと境界線や柵が設けられているわけではなく、24時間どの時間帯でも散策することができます。つまり開園 時間というものはなく「いつでもご自由にどうぞ」というわけです。ちなみに夜の公園もなかなか風情があってよいのですが、公園奥の方は少々不気味で茂みの奥で休んでいる鹿の目が暗闇で光ったりするとかなり驚かされることもあります。


観光に要する時間

 奈良公園は東西4km、南北2kmの広大な敷地の中に、東大寺や興福寺、春日大社などの観光名所が点在しており、これらを全てまわるには丸一日あっても足りません。
 また最近は2010年の平城遷都1300年祭を機に観光客も増え、休日ともなると人気のスポットには行列ができ、人番待ちで待たされることもあります。
 この為、奈良公園内全てを巡るのではなく、自分が興味のあるものに絞って観光し、余った時間で他を巡るスタイルが一般的でお勧めです。また奈良公園はその知名度の割には意外とお食事処が少ないので丸一日かけて散策する予定の方は事前に食事できる場所を確認しておいた方がよいでしょう。
 なお筆者が個人的に好きな奈良公園王道の周遊プランは以下のとおり(※移動は全て徒歩)

近鉄奈良駅5分興福寺10分奈良国立博物館5分東大寺5分若草山10分春日大社→20分→浮見堂→15分→猿沢池→5分→近鉄奈良駅

※上記の「若草山」とは麓ゲートまでを意味し奈良盆地が一望できる山頂まで行く場合は徒歩で30〜40分ほどかかります。


 奈良公園の散策地図は別途散策マップ(PDF)参照。

奈良公園の観光・見所

奈良公園の光景


 奈良公園は元々は世界遺産に登録されている東大寺春日大社興福寺等の境内地として平安時代から手入れされてきたものを明治時代に公園地に変更したもので、その後若草山や春日原生林なども編入し現在の面積になりました。
 現在奈良公園では年間を通じて数々のイベントが行われる他、公園内には上述の世界遺産の他、国立博物館や正倉院等の文化施設があり、自然豊かな公園内では有名な「奈良公園の鹿」の他、狸やムササビなどの野生動物も多数生息し歴史・文化・自然を楽しめる総合公園となっています。なお奈良公園への出入りは24時間365日、無料となっています。


新公会堂

奈良公園 新公会堂  奈良公園の若草山に続く遊歩道。キレイに整備された石畳の道が続いています。右に見える建物はおそらく新公会堂だと思われ、地図を見て確認すると位置的には奈良公園の奥のほうで若草山の麓付近に位置していました。

奈良公園の観光・見所

奈良公園の池

奈良公園の池 奈良公園の池。奈良公園内にはたくさんの池があります。なかでも「猿沢池」や「大仏沼」よく知られていますが、これらはほとんどが人工的に造られたものです。なお写真の池の名前は分かりませんでしたが、水が透明できれいだったうえに、小島の木々の紅葉が見事で個人的にはとても印象に残りました。


公園の小川

奈良公園の小川 奈良公園内を流れる小川。奈良公園には若草山や春日大社周辺の原生林を水源とする小川が無数に流れておりこれらが上述の池の水源となっています。

奈良公園の観光・見所

東大寺

奈良の東大寺と大仏殿 奈良公園にある東大寺。奈良の大仏様で有名。中央に見える大きな建物が大仏殿で、中には「奈良の大仏様」が安置されています。正面の池は鏡池とよばれその名のとおり東大寺を湖面に映しだしています。なお東大寺の詳細については別途「東大寺の観光・見所」のページを参照。


春日大社

奈良公園の春日大社  春日大社は奈良公園のもっとも奥まった所にある神社で古都奈良の文化財として世界遺産に登録されています。なお奈良公園の鹿達はこの春日大社の神様の使いとされています。この春日大社の詳細については別途「春日大社の観光・見所」のページを参照。

奈良公園の観光・見所

興福寺

 奈良公園の興福寺。ライトアップされた五重塔の光景はあまりにも有名です。また若草山の野焼きや花火が行われ、炎の光りで春の夜空に浮かび上がった五重塔は雑誌やパンフレット等でよく紹介されており、誰でも一度は見たことがある光景なのではないでしょうか。なお興福寺の詳細については別途「興福寺の観光・見所」のページを参照。

興福寺と五重塔

 

奈良公園を一望できる隠れ眺望スポット

 奈良公園周辺は高さ15m以上の建物を建てることができない「風致地区」に指定されています。ところがこの一画でひとつだけ高さ15m以上の建物が存在します。それは奈良県庁。県庁の建物は風致地区に指定される前に建てられたので6階建て(高さは23.8m)の建物となっています。そしてこの県庁の屋上は2008年に芝生化され一般にも開放されているのです。
 奈良公園はおろか若草山や奈良の大仏が安置されている大仏殿、そして興福寺の五重塔など名だたる名所が一望できる県庁の屋上は、旅行雑誌などでもほとんど紹介されることなく長年隠れた眺望スポットそして人気を集めてきましたが、2016年に、ご当地グルメを提供し夜景も楽しめるレストランがオープンすることが決定しオープンしました。この為ネットや旅行雑誌でも「絶好のビュースポット」として一気に紹介されるようになりいまや奈良観光人気スポットのひとつとなっているのです。

奈良公園の観光・見所

若草山


 若草山は奈良公園東側に広がる広さ33ha、標高が342mのなだらかな山です。山頂は奈良市街を一望できる展望所となっており、特に桜が満開となる時期は桜に彩られた古都奈良を見ることができる絶景のドライブコースとして人気があります
 なお若草山へは車(新若草山ドライブウェイ(有料)を通る)の他、ハイキングコース(登山道)を利用し徒歩でも行くことができ(所要時間40分ほど)、山頂付近には鶯塚古墳と呼ばれる全長103mの前方後円墳もあり考古学マニア垂涎のスポットにもなってます。
 若草山のドライブコースについては別途参照→PDF

新若草山ドライブウェイ通行料金
 若草山まで 普通520円、山頂駐車場は無料、開通時間:8:00〜23:00 ※12月1日〜3月15日は22:00まで

開山時期 3月第3土曜日〜12月第2日曜日

入山料 大人150円、小人(3歳以上)80円、 ※団体(30名以上)割引あり

若草山の山焼
 毎年1月の第4土曜日に実施される奈良の冬の風物詩。野焼きの直前には花火も打ち上げられる。  

地図で場所を確認する


若草山の光景

若草山  奈良公園から見た若草山。山焼きや花火で有名なスポットですが、麓の奈良公園からみると小高い丘のように見えます。なお若草山の標高は342mで毎年行われる野焼きのおかげで木々は茂らず芝に覆われています。

奈良公園の観光・見所

若草山展望台

若草山展望台 若草山展望台からの光景。眼下には春日山原始林、奈良公園、奈良市街地、生駒山と光景が続いています。若草山展望台は夜景のビュースポットでありますが、紅葉の時期も眼下に見事に紅葉した奈良公園がひろがり人気があります。


山焼き

若草山の山焼き 若草山の山焼き。毎年1月の第4土曜日に行われています。山焼きの光景は遠く橿原市周辺でも見ることができるそうですが、若草山間近の奈良公園周辺で見るのが一番迫力があると云われています。なお山焼きの起源ははっきりとしたことは分かっていないそうですが、鎌倉時代の文献には山焼きの事が記されています。

奈良公園の観光・見所

間近に見た若草山の山焼き こちらは若草山の山焼きを間近で見た光景。一般の人が立ち入ることができるギリギリまで近づいてみまし。これでも距離は結構離れているのですが、パチパチという燃える音と炎の熱さが伝わってきました。


若草山の花火

若草山の花火 若草山の山焼きでは山焼きが行われる直前の10分間ほどの期間花火が打ち上げられます。よく花火と野焼きが一緒に写っている写真を見かけますが、それは特殊な撮影技法を用いたもので、実際花火と山焼きが同時に行われることは無いそうです。


若草山の山焼きの舞台裏・・・・・・

 若草山の山焼きは東大寺から真東に春日大社から真北に伸ばした線がちょうど交わる辺りで行われる冬の奈良を代表する観光イベントです。山の斜面を美しく燃やし寺社のシルエットが浮かび上がるようにする為、私達一般観光客からは見えない舞台裏で多くの人達が汗を流しているのです。本項ではその苦労話をいくつかご紹介しましょう。

苦労その1ナンキンハゼの駆除
 美しい山焼きには枯れたススキが欠かせません。この為ススキの苗を育てて春先に植え、肥料も与えます。しかし育つのはススキばかりではなく小鳥の糞で運ばれたと思われる燃えにくい木であるナンキンハゼやワラビも生い茂り、若草山は三者の陣取り合戦の様相を呈することも・・・・。秋には余計な樹木の伐採をしてはいますがきりがないのだとか。

苦労その2せっかく育てたのに・・・・
 若草山には苦労して育ててきたススキを大好物とする動物が住んでいます。その動物の正体は・・・・・・奈良公園の鹿です。特に若い芽が大好物だそうで食害を防ぐため鉄柵で囲んでも穴を掘って侵入し、まさにいたちごっこの状態なのだそうです。

苦労その3火をつけるのは地元の消防団
 33ヘクタールもの広大な面積を燃やす責任重大な役目を担っているのは地元奈良市内の消防団の皆さん。山焼きの日は奈良市の消防団全てが参加し、本職の消防職員や寺社自前の消防団も参加します。竹ぼうきや水で火の勢いや方向をコントロールし山焼きが終わる頃には皆さん顔はもちろん鼻の中まですすで真っ黒になっているのだそうです。

苦労その4雨天決行?
 「若草山の野焼き」。風雨時はどうなるのでしょうか?答えは中止です。ただし皆さんが楽しみにしている一大イベントですから簡単には中止しません。多少の天気の崩れなら決行します。ちなみに100年に一度の寒波といわれ、西日本に未曾有の大雪を降らせた平成26年1月23日は野焼きを決行しています。ただしこの年は木々が濡れていたことから全体の8割ほどが燃え残り、例年の美しさはありませんでした。

奈良公園の観光・見所

なら燈花会


 なら燈花会は毎年8月上旬の10日間に奈良公園一帯を約2万5千本のろうそくの燈火で灯す夏の一大イベントで、毎年90万人以上の方が訪れます。なら燈花会の開催は1999年からと歴史自体は浅いのですが現在は奈良市の夏の風物詩となっており、普段賑やかな奈良公園も、なら燈花会の期間中は幻想的で落ち着いた雰囲気に様変わりします。なお燈火を灯す行事(供養)そのものは中世期にも行われていたと伝えられています。

浮見堂周辺

奈良公園の燈花会 奈良公園のなら燈花会(ならとうかえ)。写真の光景は奈良公園の浮見堂のもの。なら燈花会では東大寺でも参道や回廊沿いに無数の灯火が灯され大仏殿に向かって灯火で照らし出された光の道がのびます。


なら燈花会のカップル

なら燈花会のカップル  なら燈花会の会場となっている奈良公園で燈火を眺めながらベンチに腰掛けているカップル。ベンチの向こうには東大寺の大仏殿が見えます。なおこの日見かけたカップルは意外と熟年層も多かったと感じました(あくまでも筆者の個人的な感想です)。

奈良公園の観光・見所

燈火

なら燈花会 奈良公園内に無数に敷き詰められた燈火。このような光景をみていると燈花会の起源がお盆の先祖供養にちなんだものだというのもうなずけます。

奈良公園 夕暮れ時の燈火 こちらは日没直後の光景。無数の燈火に火が灯されている。この後、あたりはゆっくりと暗くなりやがて上の写真のような光景となのです。なお中央奥に見えるのが若草山です。

写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー


奈良公園の観光・見所

もらって喜ばれる奈良のおすすめ土産


 奈良公園周辺の定番お土産といえば「奈良漬け」と「奈良饅頭」。近鉄奈良駅の周辺には江戸時代創業の老舗店も多く味も上品でしっとりしており、有名な所では和菓子の「千代の舎竹村」、奈良漬「今西本店」などがあります。また少々変わったお土産としてはその昔遣唐使が持ち帰り春日大社の神饌として用いられてきた「ぶと饅頭」があります。「ぶと」とは北海道産の小豆を皮で包んで揚げたもので油で揚げたわりにはさっぱりしていて人気があります。このぶとは昔の菓子の姿を伝えているとされ、春日大社の神職はぶとを上手に作れなければ一人前とされないのだそうです。
 このほか醸造元今西清兵衛商店の代表銘柄「春鹿」は世界10カ国以上に輸出されるお酒でこちらは大切な人やお世話になっている方などのお土産に最適です。


奈良公園のおすすめの時期 ベストシーズン


 奈良公園は日本を代表する観光スポットのひとつ。世界遺産に登録された数々の寺院や豊かな大自然は季節に関係なく四季折々豊かな表情を見せてくれます。基本的に奈良公園は一年中が観光ベストシーズンといえますが、そんな奈良公園でもっとも混雑する時期が若草山山焼きが行われる1月の第4土曜日ですこの他各種イベント開催時も大いに賑わいます。また一般的に閑散期といわれている夏場も公園内の主要な施設を夜にライトアッするなど集客アップの試みがなされています。ただし夏場は蚊をはじめとした虫が多く発生するので薄い長袖の服や虫除けスプレーなどで防護するようにした方がよいでしょう。


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