鶴岡八幡宮の段葛



鶴岡八幡具 段葛 段葛(だんかずら)とは「葛石(かずらいし)を積んで周囲より一段高く作った参詣道」のことを指しますが、特に鎌倉鶴岡八幡宮の段葛は有名で今日では段葛といえば鶴岡八幡宮のものを指すようになりました。現在鶴岡八幡宮の段葛は重要な遺構ではありますが同時に現役の神奈川県道21号線の一部としても機能しています。


 鶴岡八幡宮の段葛は参道である若宮大路の二の鳥居から三の鳥居にかけて中央に設けられている歩行者専用の参詣路で、両側の車道より一段高く盛り土されています。この段葛の起源は平安時代の1182年までさかのぼり、当時、源頼朝が懐妊した妻政子の安産を祈願して鶴岡社頭(後の鶴岡八幡宮)から由比ヶ浜まで一直線に整備したのがはじまりです。

 この石積みの一段構造は整備当時からのもので、現在の若宮大路の参道も周囲より一段高くなっているのはこの為です。また従前まで曲がりくねっていた参詣道も直線に整備されと推測され現在の若宮大路の基本となります。
 参道建設時は頼朝自ら指揮したと伝えられ、当時の規模は幅33m、長さ1.5kmで一の鳥居から鶴岡八幡宮まで通じていました。また参道の両脇には側溝と塀が設けられ居住区と区分されていたと推測されています。
 現在の段葛は国の史跡に指定されており、道の両側は桜並木となっており4月の上旬の満開の時期には桜のトンネルを楽しむことができるようになっています。

鶴岡八幡具 段葛の桜 今日では「桜の名所」として知られる段葛は、かつては何も植えられていない道でしたが明治時代になると松や梅の木が植えられ、1918年(大正7年)の頃に桜の木が植えられました。

 平成の改修工事(平成26〜28年)では、桜の木とツツジが植え替えられ248本あった桜は植え替えが行われ177本に減り、歩行路には桜の根を守るため透水性の舗装が施されました。

段葛は遠近法が用いられた道?

 
 鶴岡八幡宮の段葛は参拝者に鶴岡八幡宮を遠くに見せるために遠近法の仕掛けが施されているといわれています。実際に道幅は二の鳥居付近で4.5メートル、三の鳥居付近では2.7メートルと、鶴岡八幡宮に近づくほど道幅が狭くなっており、段葛両側に築かれている土手は、鶴岡八幡宮に近づくほど低くなっています。 
 また一説には防衛施設としての役割も兼ねているとされ、敵の想定進入方向とされる西側が若干高くなっています。