中尊寺の見所・歩き方



 中尊寺は2011年に世界遺産に登録された、国の特別史跡です。
 中尊寺で一番有名なのはなんと言っても金色堂ですが、堂内に展示されている仏像や当時の仏教遺物などは必見の価値があります。また展望所から眺める北上川の展望や本堂、敷地内にある数々のお堂なども魅力のひとつだと思います。
 中尊寺の歩き方は至って簡単です。駐車場から月見坂と呼ばれる坂道がのびています。中尊寺の参道はこの月見坂一本道です。通り沿いにあるお堂にお参りしながらを坂道登って行くとやがて本堂、金色堂に辿り着きます。
 なお境内にはたくさんのお堂があり、これら全てにお賽銭をしていると小銭があっという間に無くなってしまいます。できるだけたくさんのお堂にお賽銭をしたいというのが人情ですから小銭は事前にたくさん用意しておいた方がよいでしょう。


※本サイトに記載されている情報については変更されている場合もありますので、ご利用の際は必ず現地の表記をご確認ください。


公式HPhttp://www.chusonji.or.jp/


目 次

中尊寺拝観料
中尊寺周辺の観光スポット
中尊寺境内の光景
世界遺産中尊寺 
観光に要する時間
平泉の美味い物
平泉町の祭り・イベント 
中尊寺周辺の宿泊施設
中尊寺の観光ベストシーズン


中尊寺 拝観料


 中尊寺そのものの拝観料は無料で境内は自由に出入りすることが可能です。境内とは別に拝観料が必要となるのが金色堂で拝観料及び拝観時間は以下のとおりとなっています。

拝観時間(讃衛蔵共)

3月上旬〜11月上旬まで8:30〜17:00、11月上旬〜2月末まで8:30〜16:30

拝観料

大人 800円、 高校生 500円、中学生 300円、小学生200円  ※団体割引有り


中尊寺

中尊寺周辺の観光スポット


 中尊寺では周辺(車で30分以内)に世界遺産も含めた観光スポットが複数あるので以下に紹介します。なおこれらの移動には歩きは少々時間を要するので車もしくはレンタサイクル、バス等の利用をおすすめします。また施設の詳細については別途「平泉」のページで写真で詳細を紹介しています。

世界遺産施設

毛越寺 
観自在王院跡
無量光院跡
金鶏山


世界遺産以外

達谷窟
厳美渓
高舘義経堂
柳之御所資料館


境内の光景(本堂及び金色堂は別途紹介しています)


 中尊寺は岩手県西磐井郡平泉町にある天台宗東北大本山の寺院です。起源は嘉祥3年(850)までさかのぼり、天台宗の高僧・慈覚大師円仁によって開かれ、藤原清衡により戦死者への供養と悠久の平和を願って創建されたとされ、全盛期は寺塔四十余り、禅房三百余りの規模であったと記されています。
 今日金色堂を残して当時の堂塔は全て消滅していますが、江戸時代に伊達家の保護などにより復興し経蔵、金色堂覆堂、石製五輪塔・宝塔、野外能舞台の5件の重要文化財建造物のほか、数々のお堂や全盛期の遺跡が良好な状態で保存されています。


中尊寺


不動堂

中尊寺 不動堂 中尊寺の不動堂。中尊寺の本堂から金色堂に向かう途中にある。祈祷所になっており中尊寺境内にあるお堂の中では規模は大きめ。お堂の前には線香が焚かれほのかに香煙の香りが漂っていた。


 不動堂はお不動様の呼び名で親しまれている不動明王を祀ってあるお堂。不動明王は、大日如来の仮の姿とされる明王で、右手に宝剣を持ち、どんな邪悪をも切って破り、左手の羂索(ロープ)では救いを求める人を搦めてすくい上げてくれると言われ、この世に生きる人間の過ちを直し、苦悩を取り除いてくれるとされています。
 なお中尊寺では毎月28日が不動尊の縁日で護摩が焚かれます。

御利益
家内安全・身体健全・病気平癒・商売繁盛・受験合格・厄除開運


峰薬師堂

峯薬師堂 中尊寺本堂のすぐ隣にある峯薬師堂。本堂とは木の壁一枚で隔てているだけ。右側が中尊寺本堂で左側には池があり、モリアオガエルの産卵場となっています。6月頃に訪れると木の枝に付いたたくさんの卵塊を見ることができます。


  峰薬師堂には中尊寺境内にある薬師堂と同じく薬師如来が祭られています。
 中尊寺で昔からお受けすることができる「目の絵馬」は、目のご利益があるとして有名ですが、その目の絵馬が売られているのが峯薬師堂です。峯薬師堂の札所では目の絵馬の他に目の御守りも販売されており、特に目の御利益があるお堂として有名な所です。

中尊寺


観音堂

中尊寺 観音堂 中尊寺観音堂。北参道西側の参道沿いにある。なお中尊寺本堂や観音堂の脇を南北に横切る北参道を挟んで東側の道を月見坂といいますが、西側の参道には特に名称はないようです。


 観音堂は観音菩薩が安置されているお堂。観音菩薩は一般的には観音さまと呼ばれ、日本で一番信仰を集めている仏様です。
 衆生の苦しみや救いの声を聞きつけて馳せ参じてくださる仏様で 性別は女性でも男性でもないとされ、必要に応じて刹那刹那にあらゆる姿に変化される「かたよりのない存在」といわれています。
 また衆生を救済に顕れる時、多くの姿をとる(変化する)と言われ、聖観音・ 千手観音・十一面観音・如意輪観音・馬頭観音・准胝観音等は有名です。


大日堂

中尊寺 大日堂 中尊寺大日堂。北上川を見下ろす小高い丘に建っている。中尊寺境内一連の建造物の中では一番古い建物のように見えますが安置されているのは日本密教の最高神とされる大日如来。


 大日堂は前述のとおり大日如来が安置されているお堂。大日如来は密教の教主で、宇宙そのものと一体と考えられている如来の一尊です。
 大日とは「偉大な輝くもの」と言う意味で元々は太陽の光を意味し、その光明は光り輝き国や人を守るといわれており、遍く照らすところから、遍照とも呼ばれています。
 なお中尊寺の大日堂は扉が開いており中を見ることができ、大日如来像の他、千手観音像や不動明王像も確認できました。

中尊寺


鐘楼

中尊寺 鐘楼 中尊寺鐘楼。鐘身は径86cm高さ113.2cmほどで北上川を望む小高い丘に建っています。建物の中には小さいながらも鐘がぶら下がっているのが確認できますが、建物、鐘共に痛みが激しく近づく事はできません。


 中尊寺の鐘楼はもともと2階造りの鐘楼であったが、建武4年(1339年)の火災で焼失しました。現在の梵鐘は康永2年(1343年)に鋳造されたもので、鐘身の銘文には建武の火災のことなどが記され奥州藤原氏以降の歴史を知る資料としても貴重なものとなっています。なお撞座の摩耗はなはだしく、今ではこの鐘を撞くことはほとんどありません。
 

阿弥陀堂

中尊寺 阿弥陀堂 中尊寺阿弥陀堂。中尊寺の阿弥陀堂は縁結びの御利益があるとされ、訪れた当時は多くの若い女性が御札を結びつけていました。春になるとお堂の後ろの竹林が生い茂り、左脇には桜が咲き阿弥陀堂をより一層引き立てます。


 阿弥陀堂とは阿弥陀仏を本尊にもつお堂の総称です。また阿弥陀仏とは大乗仏教における諸仏のなかでもっとも代表的で重要な仏様です。阿弥陀如来(あみだにょらい)ともいい「無限の光をもつもの」、「無限の寿命をもつもの」の意味を持ちます。
 人々が死後行 くという極楽浄土を支配する仏様で、極楽往生を 願って南無阿弥陀仏と唱えれば必ず極楽へ行けると説いた浄土宗、浄土真宗の本尊となっています。なお「南無阿弥陀仏」の念仏は「阿弥陀仏さまにおまかせします」とか「阿弥陀さまに帰依・帰順します」という意味。

中尊寺


釈迦堂

中尊寺 釈迦堂 中尊寺の釈迦堂。金色堂や旧覆堂を見て白山神社方面に向かう途中にあります。お堂の内部は見ることはできませんでしたがおそらく釈迦如来が安置されているのだろうと思われます。


 釈迦如来は仏教の開祖である釈迦を仏として敬う呼び方で一般的にはお釈迦様の名前で親しまれています。
 西遊記に出てくるお釈迦様はまさにこの釈迦如来のことです。
 釈迦は紀元前5世紀頃、シャーキャ族王の男子として現在のネパールのルンビニで誕生し「やがて世界の王となる」という預言のもと王子として裕福な生活を送っていましたが、29歳で地位や家族を捨て出家してしまいます。35歳で覚りを開き釈迦のもとへやってきた梵天の勧めに応じて、自らの覚りを人々に説いて伝道して廻り満月の日に80歳で入滅(死去)したと云われています。 
 釈迦が説いた覚りは哲学的、科学的な要素が強く、現在の仏教の教えとはかなりかけ離れている感がありますが、お経は釈迦が説いた言葉の論語集がもとになっています。


弁財天堂

中尊寺 弁財天堂 中尊寺の弁財天堂。ご覧のように桜の花がとても綺麗でした。弁財天は女性の神様。このことも関係あるのか周りを池で囲まれ中尊寺境内では一番華やかなお堂のように感じました。


 弁財天(弁才天)は七福神に登場し琵琶を弾く妖艷な姿で現される女神様。弁天様とも呼ばれる。福徳・諸芸能上達の神として広く信仰されていますが才が財に通じることから財福をもたらす女神様としても信仰されています。
 なお元々はインドの河神であることから、日本でも水辺、島、池、港など水に深い関係のある場所に祀られることが多い。

中尊寺




山門

中尊寺山門 中尊寺山門。月見坂から見た光景です。月見坂の入り口が表玄関なのに対してこちらは裏門的な位置づけとなっています。なお後ろ方向は坂の上駐車場になっており、本堂や金色堂にに直接来る人はこちらの駐車場を使用した方が断然近くなります。ちなみに料金は月見坂入り口にある町営駐車場より少々割高な設定になっています。


世界遺産 中尊寺


 中尊寺をはじめとする平泉の浄土文化が世界遺産に登録されるのは決して平坦な道ではありませんでした。そもそも浄土思想とは「この世に万物平等の極楽浄土を創設しよう」という考えで言い換えれば究極の平等世界です。ユネスコにしてみればこの万物平等の思想とは正反対の思想である封建制度の頂点に君臨していた藤原氏の治める国が万物平等の国であるはずがないと言うわけです。平泉の黄金文化も「浄土思想ではなく自らの欲望や欲求を満たすために造られたのではないか」と言われれば確かに説明に窮してしまいます。
 そんな膠着状態の平泉世界遺産登録の契機となったのが「東日本大震災」と「中尊寺建立供養願文」といわれています。東日本大震災後、皆で手を取り合い助け合う日本人の姿はユネスコの方々にはまさに万物平等の「浄土思想」と重なって見えたことでしょう。また鳥や魚、獣にいたるまで万物平等を祈り朝廷に願い出た「中尊寺建立供養願文」はその美しい文言や表現で審査員の心を捉えて離さなかったといわれています。

※中尊寺建立供養願文とは奥州藤原氏初代の清衡公が中尊寺を建立した際に朝廷に報告した説明趣旨書のようなもの。現代語調訳は下段を参照。



中尊寺建立供養願文

 国を護る大寺院の建立にあたり供養し奉ります、
五色の旗で飾った仏堂に釈迦三尊を、三重塔に大日如来と弥勒菩薩を安置しました、
瓦葺きの蔵には、紺の紙に金と銀とで経を写した一切経を納めました、
鐘つき堂を造り、梵鐘を吊しました。その鐘の音は、世界のあらゆる人のもとに届き、苦しみをやわらげ心を清らかにするでしょう。
陸奥の地では、官軍の兵と蝦夷の兵が争い、古来より多くの命が失われてきました。毛を持つ獣、羽ばたく鳥、うろこを持つ魚も、数限りなく殺されてきました。陸奥の国にあっては生活のため、都への貢ぎ物の為、数え切れない命が今も犠牲になっています。
その骨は朽ち果て、陸奥の土塊となり恨みを残しています、鐘を鳴らすたびに、罪なくして命を奪われたものたちの霊が慰められ、極楽浄土に導かれることを願っております。
五百の僧が、釈尊の教えをすべて記した五千余り巻の一切経を読み上げました。その声は天にも達したことでしょう。
以上のように善行を積む本意は、ただ国家鎮護を祈るためであります。
幸いにも白河法王様が統治なさる世にうまれあわせ、安らかに過ごすこと三十年にも及びます。
今、杖にすがる年齢となり、最後の務めに、仏の道を広める以上のことがあるでしょうか。
平泉は四方を神仏が守護する理想の地です。平泉を都とし、陸奥は恩寵あらたかなる国となりました。
わたくしは、戦乱で父と叔父を失い、母と妻と初めての子を殺され、弟とは骨肉の争いを余儀なくされました。
殺生に手を染めたこの身が、思いがけなくも蝦夷の頭領となり、陸奥の民が心安らかに暮らせる国をつくることができました。
これを仏の慈悲と呼ばずして何と呼びましょうか。
願わくは、この世界中に、仏の道の根本である、万物平等の教えが広まらんことを。

 天治三年三月二十四日

中尊寺


観光に要する時間


 金色堂や境内をすべて観光するには約1〜2時間程かかる。また平泉町はJR平泉駅から半径2〜3kmの所に主要な観光施設が集中している為、定期観光バスやレンタサイクルで史跡巡りをすることができる(なお平泉のレンタサイクルについては別途「平泉のレンタサイクル」を参照)。 時間があれば徒歩による散策も十分可能。
 車で散策する場合、中尊寺から20分ほどの所に厳美渓があるのであわせて観光すると便利。
※中尊寺を組み込んだ岩手県の観光モデルコースは別途「いわて花巻空港」及び「一ノ関駅」「北上駅」「盛岡駅」の各ページを参照

平泉町周辺の美味い物 


平泉の蕎麦
平泉の蕎麦 平泉周辺では鎌倉時代から食されていたといわれており、町内にはそば屋が多く、種類も椀子そばから田舎蕎麦まで多種多様。
モチ
ずんだ餅 一関市はずんだ餅をはじめとした餅の食文化が色濃い地域。特に毛越寺境内の茶屋の餅御前は有名。
前沢牛
前沢牛 奥州市の前沢地区で飼育された霜降りのブランド牛肉。他に奥州牛というブランドもある。
卵めん(らんめん)
卵めん(らんめん) 奥州市の郷土料理で小麦粉、塩、卵だけでつくられた麺。江戸時代にキリシタンが考案したとされる。

平泉町の祭り・イベント 


春の藤原祭り
春の藤原祭り 平泉町で5月1日から5日まで行われる春祭り。中尊寺や毛越寺を中心に町中で郷土芸能やイベントがみられる。


秋の藤原祭り
秋の藤原祭り 平泉町で11月1日から3日まで行われる秋祭り。同時期に開催される菊祭りとあわせて郷土芸能や舞い、能や狂言が披露される。 



中尊寺周辺の宿をさがす


 岩手県平泉町を中心とした温泉・旅館・ホテル等の宿を予算に合わせて選べます。

温泉 旅館 ホテル 宿



中尊寺おすすめの時期 観光ベストシーズン


 中尊寺がある平泉町や隣の一関市には奥州藤原氏に縁の史跡や景勝地の他、世界遺産に登録された文化財が多数あり、通年を通して観光を楽しむことが出来る。 特に桜や紅葉の名所が多く、この時期には多数の観光客が訪れる。


中尊寺



県内の観光地 一覧


平泉町 中尊寺 毛越寺 厳美渓 龍泉洞 浄土ヶ浜 北山崎 鵜の巣断崖 不動の滝 二戸市 葛巻町 達谷窟 遠野市 八幡平 天台寺 御所野遺跡 猊鼻渓 安家洞 三陸海岸 久慈市 えさし藤原の郷