松尾芭蕉 奥の細道



 数ある松尾芭蕉の俳句のなかでも代表作のひとつといえるのが山形県の立石寺で詠んだ「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」です。実は松尾芭蕉は当初立石寺に寄る予定はなく尾花沢滞在時に「山形領に立石寺といふ山寺あり。慈覚大師の開基にして、殊に静閑の地なり。一見すべし」と勧められ急遽立ち寄ることになったものです。芭蕉は山寺には午後3時頃到着し宿坊に荷物を預けそのまま頂上目指して登って行きます。そして物音が聞こえない静寂のなかで蝉の声を聞きあの名句を詠むのです。



蝉塚


立石寺の蝉塚  松尾芭蕉の俳句をしたためた短冊を埋めたとされる所で石の塚が建てられ「蝉塚」と呼ばれています。
「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」 昔芭蕉もこのような光景をみて俳句を詠んだのでしょうか。


蝉塚周辺の光景 こちらは蝉塚周辺の光景。正面に見える穴が無数に開いた岩が百丈岩。百丈岩の上に有名な納経堂や五大堂が建てられています。



芭蕉句碑と清和天皇御宝塔


芭蕉句碑と清和天皇御宝塔 立石寺の根本中堂のすぐ隣にある芭蕉句碑と清和天皇御宝塔。清和天皇は立石寺を勅願寺とした平安時代前期の天皇で源氏の祖先にあたる人物。
 また芭蕉の句碑は芭蕉の門人達が1853年に建てたもの。



古池


立石寺の古池 松尾芭蕉の俳句「古池や 蛙飛び込む 水の音」にあやかったのか本坊近くにある古池。近くには蛙岩とよばれる岩もあり、オタマジャクシがたくさん泳いでいました。

注:上記の句は江戸屋敷の古池で考えられたといわれています。



芭蕉が聞いた蝉の鳴き声


 芭蕉が山寺で聞いた蝉の鳴き声。つまり「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」の蝉の声は従前よりアブラゼミと思われてきました。ところがこれに異論を唱えニイニイゼミであると主張する研究家が現れました。この論争、具体的な鳴き声の記録が無い以上長引くものと予想されましたが、山寺周辺の自然生態を調べた結果あっさりと決着がつきました。答えは「ニイニイゼミ」。なぜなら芭蕉が山寺を訪れた旧暦の5月27日(現在の暦では7月15日)の頃はまだアブラゼミは羽化していないからです。芭蕉はニイニイゼミの「チィーーーー」という鳴き声を聞きあの名句を思い浮かべたのです。




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