塩竈神社
宮城県塩竃市(仙台市ではありません)にある塩竈神社は陸奥国一宮(むつのくにいちのみや)で全国にある塩竈神社の総本社です。また本殿に向かって右側の境内には志波彦神社が鎮座しており、正しくはこの2社をあわせた「志波彦神社鹽竈神社」が正式名称となります。
冒頭に記述されてある「陸奥国」とは現在の青森・岩手・宮城・福島4県に相当する地域で(山形・秋田は「出羽国」)、奈良時代には塩竈神社近くにある多賀城に陸奥国鎮護の為に国府・鎮守府が置かれており、塩竈神社とならんで国防上の要であり、またこの地を治める人々の精神的支えとなって信仰されたようです。塩竈神社と多賀城どちらが先に建立されたのかは分かりませんが互いに補完する間柄にあったと推測されています。
創建については正確な年は不明ですが陸奥国鎮護の要衝で製塩の中心地でもあった塩竃の地に九世紀前半には存在していたのが確実視されています。これは820年の記録に朝廷から祭祀料をいただく神社として記されていることによるものです。一方で当時朝廷から破格の祭祀料をもらっていた反面、神社として正式な記録に残されていない(神社帳への記載が無い)といった矛盾点がありますが、鎌倉時代には陸奥国の一宮(律令制の行政区分によるその国内で一番格式の高い神社)として認識されていたことがわかっています。
なお塩竈神社の書き方は一般的に知られている「塩竃」ではなく「鹽竈」が正解で、宮城県塩竈市は市の正式名称が塩竈市で、駅や港といった一般的な地名には「塩釜」を使用しており少々紛らわしくなっていますが、基本的にどの文字を使用しても通用するようになってます。
※本サイトに記載されている内容については変更されている場合もありますので、ご利用の際は必ず現地の表記をご確認ください。
公式HP→
http://www.shiogamajinja.jp/
塩竈神社の見所
塩竈神社のある場所は現在は埋め立てられていますが、昔は松島湾に突き出た岬の上となっており当該地を代表する眺望スポットであるほか、長い歴史に育まれた貴重な文化財などがいくつかありますので以下に紹介します。
社殿
塩竃神社の社殿は唐門をくぐって右方向に
塩椎神(しおつちのかみ)を祀る別宮本殿と拝殿が、正面に
建御雷神(たけみかづちのかみ)及び経津主神(ふつぬしのかみ)を祀る左右二棟の本殿と棟の拝殿があり、「三本殿二拝殿一棟」と非常に珍しい建築様式になっており、国の重要文化財に指定されています。これは江戸時代の造営の際に武神であり武士の守護神である建御雷神及び経津主神を仙台城の方向に向け城から遙拝できるようにし、塩椎神は海難を背負っていただく事を願い海に背を向けて造営したからといわれています。
志波彦神社
志波彦神社(しわひこじんじゃ)は塩竃神社の別宮として鎮座しているお社で、主祭神の志波彦神は塩竃の神に協力したとされる産業振興・国土開発・農耕守護の神様で、元々は現在の場所より4kmほど西南西の仙台市を流れる七北田川の畔に鎮座していたものを境内が狭く、祭事等行うのに不便である為に明治七年に塩竃神社の別宮として現在の地に遷座したものです。
現在は塩竃神社と一緒に紹介されるようになりましたが漆塗りの本殿・拝殿は塩竃市の文化財に指定されています。また志波彦神社の境内から眺める塩釜港及び
松島の光景は必ず立ち寄ってもらいたい眺望スポットのひとつです。
千賀の浦
「千賀の浦」とは現在の塩釜港のことで、志波彦神社前(鹽竈神社の境内にあるもうひとつの神社)からの眺めを意味します。千賀の浦からは
松島や遠くに金華山を望むことができ、平安時代の頃は塩竈神社・志波彦神社が鎮座する丘陵は海に突き出た岬だったので今以上の絶景が望め歌枕として数多く登場しています。 かの俳聖「
松尾芭蕉」もこの地を訪れ塩竃の港から松島へ渡っており、現在周辺地域は埋め立てられ市街地となっているため、芭蕉が眺めた光景とは少々異なっていると推測されますが、現在も古の先人達と同じような光景をみせてくれる絶景のスポットには変わりありません。なお筆者は見たことがまだないのですが、千賀の浦は松島湾から登る初日の出スポットともなっているそうです。
塩竃神社の観光所用時間
塩竈神社及び志波彦神社の境内はさほど広いわけでもなく、30分ほどあればほぼ全てのお社を参拝することができます。塩竈神社の参拝における一番難しいところは約50mの標高差であり、
ご利益があるとされる表参道の急な石段を通るか比較的緩やかな
駐車場から続く坂道を利用するかで疲労度は大分異なります。
塩竈神社 開門時間千賀の浦
開門時間 午前5:00〜午後8:00 なお境内の参拝は自由となっています。
塩竈神社 おすすめの時期 ベストシーズン
塩竈神社で一番おすすめの時期はなんといっても国の天然記念物である「シオガマ桜」が見頃をむかえる5月上旬頃。シオガマ桜の見頃はソメイヨシノといった一般的な桜よりも半月ほど遅く、周囲の他の木々からは若葉が生え海からも心地よい風が吹く頃となります。この為、タイミングが合えば小鳥のさえずりを聞きながら新緑を眺めさらに桜も楽しめると言うわけで個人的にはもっとも好きな時期です。なお
表参道の石段を登る場合、夏の猛暑の盛りや雪氷で滑りやすい冬の時期(塩竃市は海の沖合に暖流が流れているため気候は比較的温暖です)などは避けるようにした方が無難です。
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