パワースポット愛宕神社のご利益
海に面した江戸城の南側に鎮座し、400年以上も前から江戸(東京)の町を火事から守ってきた愛宕神社。都会のオアシスと表現される緑豊かな境内はパワースポットとされ、そのご利益は防火のみならず出世、無病息災、産業、縁結びと多岐にわたります。
本ページではこれら愛宕神社のパワースポットたる由縁やご利益の由来などについてご説明していきたいと思います。
目 次
愛宕神社の祭神
愛宕神社のご利益
防火・防災・郷土守護
印刷・コンピュータ
縁結び・恋愛・結婚
出世階段
パワースポット
ご利益スポット
招き石
鯉
ほおずき市
まず最初に愛宕神社のご利益の由縁や由来を説明するうえで祀られている祭神の意味・役割は非常に重要ですので冒頭でご紹介しておきます。
祭神
火産霊命(ほむすびのみこと)
破壊と生成の力を象徴する火の神様。全国に数ある「愛宕神社」や「秋葉神社」の主祭神で防火・郷土守護の神様として広く信仰されています。
国生みの夫婦神である伊弉諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)が最後に産んだ35柱目の神様ですが、火の神様であった為、出産時に伊弉冉尊は陰部に大やけどを負い命を落としてしまいます。この為、父である伊弉諾尊に首をはねられてしまいますが、火産霊命の遺体からは正鹿山津見神や奥山津見神をはじめとした鉱山を象徴する神々が、また飛び散った血からは石筒之男神や
建御雷之男神といった工業を象徴する神々が生まれます。この為火産霊命は金運や鍛冶・産業、招福、防火のご利益があると信仰されています。
配祀
罔象女命(みずはのめのみこと)
主祭神である火産霊命の出産時に火傷を負い苦しんでいる伊弉冉尊の尿から生まれた水の神様。泉や井戸を象徴する水の精ともされます。
大山祇命(おおやまづみのみこと)
伊弉諾尊と伊弉冉尊の間に生まれた大いなる山の神。娘は天皇の祖神にあたるニニギの命に嫁いだ「木花咲耶姫」。
日本武尊(やまとたけるのみこと)
古事記に登場する古代日本悲劇の英雄。第12代景行天皇の子で父に疎まれ草薙の剣を手に九州、出雲、尾張、相模と転戦し最後は旅の途上で病に倒れ故郷の土を踏むことなく亡くなってしまいます。
将軍地蔵尊
愛宕神社の本地仏(神仏習合の仏号)とされる仏様。軍神として戦国時代の武将に信仰され徳川家康も信仰していました。
普賢大菩薩
仏教における菩薩の一尊。減罪のご利益があるとされ、文殊菩薩ととも釈迦如来の脇侍として祀られることが多い仏様です。
境内のあちらこちらで徳川家の葵の紋を見ることができ、なぜか猫の姿もよく見かける東京港区の愛宕神社。周囲を見渡せば見渡すほど、ご利益がありそうな雰囲気となっていますが、一般的に言われているご利益としては以下のようなものがあります。なお東京
愛宕神社のご利益でもっとも有名な
「出世」のご利益については
別途項を設けて詳しく紹介しています。
このご利益は主祭神である
火産霊命が「火」を象徴する神様であることが由来となっており、防火ひいては防災・郷土守護のご利益があるとされています。
日本神話において火産霊命の亡骸からは鉱業や産業・生産を象徴する神々が発生しています。特に火産霊命の飛び散った血から誕生した建御雷之男神は剣と雷を象徴する日本神話最強の武神で、剣は鍛冶→産業、雷は電力に通じるとされています。ご利益自体は産業・商売全般にわたるものですが、印刷・コンピュータ関係は大量の電力や精密な電気制御が必要な分野ですので特にご利益があるとされています。また愛宕神社周辺には印刷・コンピュータ関連の会社が数多くあり、業界関係の参拝者も多かったことなども理由としてあげられます。
主祭神である
火産霊命は出産時に母が命を落とし、死の際には生産を象徴する多くの神々が誕生します。この事から「一度悪縁を消滅させたうえで新しい良縁を生成する」ご利益があるとされているのです。
東京 愛宕神社でもっとも有名なご利益は「
出世」です。
愛宕神社大鳥居前の男坂は86段の急勾配の石段となっており、その傾斜は約40度。この階段を休憩せずに階段を一気に登ると出世するご利益があるといわれているのです。現在でも朝の出勤時間帯を中心にスーツ姿のサラリーマンがこの階段を上がって行き参拝した後、オフィス街へ向かっていく姿を見かけることができます。
これは男坂 通称「出世階段」にまつわるある故事が由来となっています。
男坂・出世階段
時は江戸時代。徳川将軍三代家光の時代のお話です。家光が愛宕神社の前を通ると男坂の階段の先に見事な梅の花が見えました。
そこで「だれぞこの階段を馬で駆け上りあの梅を取ってまいれ」と命じます。しかし男坂の階段は急で誰も誰も名乗り出る者がおりません。
そんな時 四国丸亀藩の家臣で曲垣平九郎(まがき・へいくろう)というもの者が馬で階段を駆け上り梅を手にして再び階段を降り家光に梅を献上しました。
家光は太平の世にあっても乗馬の鍛錬を怠らず見事階段を上り下りした曲垣平九郎を褒め、いままで無名であった曲垣平九郎の名は日の本全国に知られ渡たりました。
以来 愛宕神社の男坂は出世のご利益あらたかな「出世階段」として語り継がれることとなるのです。
現在の男坂(出世階段)は上った先には愛宕山が正真正銘の山であることを示す国土地理院の「三角点」が設けられており、毎日多くの方が参拝に訪れるご利益スポットとなっています。
以上が簡略ではございますが男坂 出世階段の故事です。この故事は詳しく紹介しているサイトが多数あるので興味のある方は検索してみて下さい。
また愛宕神社の出世階段は見た目はかなり急ですが、実際に歩いて登る分にはさほど苦労することもなく踏破することができます。皆さんも愛宕神社を参拝する際には是非とも出世階段を登ってそのご利益にあやかって下さい。なお実際の故事では馬で階段を「上り下り」していますが、出世階段を「下る」と登り詰めてから転がり落ちるという言い伝えがあるので、帰りは出世階段を降りないで、男坂のすぐ隣にある緩やかな女坂や愛宕山トンネルの東側にあるエレベーターを利用して降りてくると良いとされています。
出世階段を踏破した馬
現在までのところ出世階段を馬で登った方は
曲垣平九郎を含め4人
曲垣平九郎を含め4名おり、現在も希望者は後を絶たないのだそうです。この出世階段を馬で登った4名のうち
曲垣平九郎を含め4人
大正14年の岩木利夫と馬の平形は特に有名で、その模様は開局したばかりのラジオ放送で生中継され愛宕山には観客が殺到し大にぎわいとなりました。岩木利夫が乗馬した平形は陸軍所属の軍馬。廃馬(殺処分)が決定されたことから馬の花道を飾ろうと岩木利夫が出世階段の踏破に挑んだものです。のちにこの話が昭和天皇にも伝わり平形の殺処分は中止となり陸軍将校用の乗馬として余生を過ごし昭和の名馬として名を残しました。
平形のエピソードを鑑みるに愛宕神社に限らず全ての神社にいえることですが、ただ神社にお願いするだけではなく自ら道を切り開いていくことが大切だと深く考えさせられます。以前神職の方がお話してくれたのですが、祈願成就する為に大切なのはやはり本人の努力であって、神様は努力している人の背中を後押ししてくれるもので「努力無くして成就無し」とのことでした。
神社にお参りする際にはお願い事を言うのではなく、これから向かっていく目標に対して誓いをたてると精神・心がけが大切なのではないでしょうか。
東京 愛宕神社は「都内屈指のパワースポットである」と紹介されることが多いのですが、その根拠は?となると明確にしているサイトや本はほとんどありません。
愛宕神社に一度でも訪れたことのある方は体感していると思いますが、愛宕神社は愛宕山という標高26mの東京24区内では最高峰の山に鎮座しており、緑が非常に濃いところです。
まさにビルの建ち並ぶオフィス街のど真ん中にある憩いのオアシスであり、この癒し効果が愛宕神社をパワースポットたらしめる由縁なのではないかと思います。
なお愛宕神社におけるパワースポットの属性は中立とされています。また属性の考え方については別途「
パワースポットの属性」のページをご参照下さい。
ここまで愛宕神社におけるご利益やパワースポットの由来についてご説明してきましたが、愛宕神社にはまだまだご利益スポット・パワースポットとされる所がいくつかあります。これらの由来については不明な部分もあるのですが、一般的に知られていることなので以下に紹介します。
境内にある石でこの石を撫でると福を授かるとされています。石自体が多くの方に撫でられピカピカに輝いていますのですぐに分かります。
愛宕神社境内には池があり鯉が泳いでいますが、社務所で購入した鯉の餌をあげると金運がアップするといわれています。なお冬など水温が低い時季は、鯉が餌を食べないため販売されていません。
愛宕神社のほおずきには無病息災のご利益があるとされ、ほおづき市の日に社殿前にしつらえた茅の輪をくぐりお参りすれば千日分の御利益があると言われています。これらの由来については別途「
愛宕神社のおみくじ・お守り・ほおずき市」のページを参照。