巌鬼山神社(がんきさんじんじゃ)



 巌鬼山神社は正式には「巖鬼山神社」と書き、創建は796年。巌鬼山西方寺観音院として建立、その後807年坂上田村麻呂により再建されたと伝えられており、その昔はまだ岩木山山頂にある岩木山神社奥院に対する下宮として信仰を集めていました(岩木山の3つある峰のうちのひとつは「巌鬼山(岩鬼山)」と呼ばれています)。ちなみに平安時代の1091年に当地から百沢の地に遷座されたのが現在の岩木山神社となります。祭神は岩木山神社の元社にあたる為、岩木山神社と同じ大山祇神。この他津軽地方に伝わる鬼神太夫伝説のスポットでもあり、鬼神太夫が打ったとされる「刀」も祀られています。
 また 巌鬼山神社は津軽地方最大のパワースポットといわれている岩木山神社の元宮であったことや、境内を流れる清流や巨木に心癒される人も多く、「津軽のパワースポット」と呼ばれています。 


地図で場所を確認する 青森県弘前市十腰内猿沢78-7


境内の光景


拝殿

巌鬼山神社 本殿 巌鬼山神社の本殿。元々は観音院だったこともあってか説明によると「津軽地方の小仏堂が神社に変わった典型的なもの」とあり、県重宝に指定されています。



大杉(二本)

巌鬼山神社の大杉  拝殿に向かって左側にある大杉。高さは41mを超える巨大なもので樹齢は1000年以上と推測されています。青森県内にはこの大杉に匹敵する大杉は無く、県の天然記念物に指定されています。

一の鳥居(楼門)

巌帰山神社 一の鳥居  巌鬼山神社の一の鳥居。巌鬼山神社は岩木山北麓の猿沢地区にあり、道路を挟んで反対側に駐車可能な空き地があります。周囲は民家もまばらで神社より奥は深い森となっている。

狛犬

巌鬼山神社の狛犬 巌鬼山神社の狛犬。よく見ると背伸びしながら笑っているようにも見えます。このように手前の狛犬は表情豊かとなっていますが、この奥に並んでいる狛犬は神妙な面持ちで座っていました。

境内社

巌鬼山神社 境内社 拝殿に向かって左側には清流が流れており、その流れを縫うように境内社が4社ほど鎮座しています。せせらぎの音が気持ちよいスポットですが社は傷みがひどく祭神は分かりませんでした。

巌鬼山神社の言い伝え


鬼伝説
 巌鬼山神社にも用いられている「鬼」という文字。実は岩木山北東部には「鬼」という文字の地名や寺社が多数存在しています(岩木山も元は岩鬼山と書いていました)。鬼といえば人々に悪さするのが一般的ですが津軽地方の鬼は人の為に尽くしてくれる良い鬼として言い伝えられている場合もあり、鬼を信仰する風習が残っています。


鬼神太夫伝説
 昔、鬼神太夫という怪力の刀鍛冶がおりました。この鬼神太夫、刀鍛冶長者の娘に惚れ込み、長者に娘を嫁にくれと申し込みました。
 ところが娘をやりたくない長者は、鬼神太夫に「一晩で十腰(本)の刀を鍛えることができたら娘をやろう」と条件をつけました。もちろん、そんなことは到底できないと踏んでのことですが、鬼神太夫は真に受けて本当に一晩のうちに十本の刀を鍛えてしまいました。長者は驚くと同時に困って、そのうち一本を盗み出し、鳴沢川に捨ててしまうのです。
鬼神太夫は九本しかない刀を何度も数え「十腰ない、十腰ない」と呟きながら、恨めしげに去っていきました。
 この時鬼神太夫が呟いた「十腰ない」が現在の「十腰内」の地名の由来となったと云われています。