三陸 リアス式海岸とは



三陸海岸の場所 リアス式海岸とは狭い湾や入り江が複雑に入り組んだ地形を指し、スペインのガリシア地方にある入り江が名前の由来となっています。
 海に対して垂直に切り立った断崖が河川により浸食される事で形成される海岸で、三陸海岸のリアス式海岸は海岸線が隆起してその後河川の浸食により形成されましたが、南部は隆起速度以上の海面上昇により沈水海岸となっています。つまり三陸海岸の中間点である釜石市・宮古市付近を境に北部は北山崎鵜の巣断崖など数百m級の断崖が続く隆起海岸、南部は瀬戸内のような光景が続く沈降海岸となっています。
 なおリアス式海岸はリアス海岸と呼ばれることもあります。一般的には前者が複数形で規模の大きな海岸を指し、後者が単体形で規模の小さな海岸を指しますが、日本においては混用されているのが現状です(教育の場では「リアス海岸」に統一されています)。
 またリアス式海岸(リアス海岸)と似たような海岸でフィヨルドがありますが、リアス式海岸が河川による浸食でできたものに対しフィヨルドは氷河による浸食でできたもので、形成過程が異なります。


リアス式海岸の特徴


三陸 リアス式海岸 リアス式海岸は入り江が複雑に入り組んだ地形となっている為、外海に比べ波風が穏やかな良港となっている他、同上の理由から牡蠣や若布、ホヤといった養殖に適した海にもなっており養殖業が地元基幹産業のひとつとなっている所も多くあります。また河川から栄養分豊富な水が流れ込むことから多くの地魚が根付き沿岸漁業も盛んに行われています。
 以上のような理由からリアス式海岸では昔から漁業を中心とした集落が形成されてきましたが、地形的に断崖と谷が連続していることから各集落・港間の人や物流移動が困難で、舟が唯一の移動手段という所も珍しくありませんでした。

 またリアス式海岸のもう一つの大きな特徴として多少の悪天候には強いものの、一定以上の規模をもった災害の場合には大きな被害を受けてしまうことが挙げられます。
 これは集落や港が沈降谷の入り江奥に形成されていることから、他の地域に比べ強風や大波ていどの気象状況では被害は軽微にとどまるものの、甚大な自然災害にみまわれた場合、上流河川から流入する水や津波といった自然エネルギーが集中しやすく甚大な被害をもたらす場合があります。


津波


津波で壊れた防潮堤 リアス式海岸は外海に面した部分以外は断崖に囲まれ、入り江の奥に行くほど平地部分の面積が狭くなります。海底も陸地側の方が浅く、狭くなっているので津波 襲来時は波が増幅され他の地域よりも波高が高くなり大きな被害をもたらす傾向にあります。
 この事は過去の大津波や研究の結果広く認識されており、入り江入口部分には高い防潮堤を設けて対応していますが、東日本大震災時における三陸海岸沿岸はこの防潮堤を越える規模の津波が押し寄せ大きな被害をもたらしました。