姫路城の天守閣



 姫路城の天守は江戸時代もしくはそれ以前に建設された天守が残っている現存12天守の一つでその規模は最大級、そして城郭施設としては国内で唯一世界遺産に登録された城です。また天守閣の構造も大天守と三つの小天守からなる連立式構造という珍しい構造となっており、このような貴重な施設が戦火や火災の被害に遭うことなく現在に至っているのはまさに奇跡ともいえる日本の宝なのです。
 大天守の構造は外観は五層ですが実際は地下一階を含めた七階構造となっており、最上階には城の守り神である「刑部大明神」が鎮座し、そのほか当時の武具や資料、そして防御用の石落としや武者隠し、狭間といった当時の仕掛けや工夫を数多く見ることができます。
 なお天守内は混雑緩和の為に見学ルートが決められており、日によってコースも異なります。天守内の見学に要する時間は1時間ほどですが、決められた順路に沿って見学するようにしましょう。


天守閣


姫路城の天守 姫路城天守の外観。何度も修繕が行われたとはいえ、このような巨大な城郭が落雷や火災の被害に遭うこともなく現在に至っているのはある種の感動すら覚えます。

姫路城 天守 南から見た光景 姫路城の天守を南から見た光景。中央に見えるのが大天守で手前に見えるのが乾小天守と西小天守。この他城の北東側に東小天守があり各々渡櫓で大天守とつながっています。



姫路城 天守閣からの眺め 姫路城天守閣からの眺め。天守の高さは31.5mもあり、現存12天守の中では最大。城郭や城そのものは江戸時代と変わりはないので当時と同じ光景が広がっていることになります。


姫路城の全景


姫路城の全景 姫路城の全景。このように離れて眺めて見ると連立式天守が山の峰のように見え「天守群」と言われるのも分かるような気がします。など白亜の白壁は薄曇りの日などは背景と同化して見えることもあります。

そもそも天守閣とは


 天守閣といえば殿様が生活する住居の場と考えている方も多いそうですが、実際は防御施設であり、櫓の進化したものと考えた方がしっくりと来るかもしれません。殿様が実際に生活や政務を行っていた所は二ノ丸や本丸などに建てられた平屋造りの館で天守閣ではありません。実際に天守閣入ってみると、おおよそ住居空間とはほど遠い急な階段に狭い空間といった構造に「天守=殿様が住んでいた所」と思っていた人は違和感を感じるはずです。天守は敵に攻められた時に高い所からねらい打ちにする防御拠点で、敵が最後に辿り着く文字通り最後の砦だったのです。
 なお江戸時代になると天守は防御施設から大名の権威を示す象徴的意味合いの方が強くなっていきます。また構造上落雷の被害にも遭いやすく、一度焼失してしまうと再建築には幕府の許可が必要なことや建築しても維持費がかさむことなどの理由から次第に姿を消してゆくのです。
 現在見ることができる天守は近世になってから復元されたもの多く(代表的な例が「江戸城の天守」)そういう意味では姫路城を含めた現存12天守の文化的、歴史的価値は計り知れないものがあるのです。