浅草寺(浅草神社)の神様



 浅草寺 ご利益浅草寺にはご本尊として聖観音様が安置されており、浅草神社には三社権現という神様が祀られています。これらの神様は浅草寺創建に由来しており、本ページでご説明する浅草寺(浅草神社)のご利益についても根幹をなす神様達です。この為、浅草寺のご利益を説明する前にまず神様達について簡単にご説明しておきます。

 その昔 檜前浜成(ひのくまのはまなり)、檜前武成(ひのくまのたけなり)という兄弟が浅草で漁師を営んでおりました。ある日隅田川で網を引き上げてみると一体の仏像が入っていました。時は仏教が日本に伝わって間もない飛鳥時代の頃、ましてや浅草は奈良・飛鳥の都から遠く離れており仏様の意味もよく知られてなかった時代です。兄弟は仏像を川に投げ入れ場所を変え再び網を仕掛けます。すると今度も同じ仏像が網に入ってきます。何度網を仕掛け直しても入ってくる仏像にただならぬものを感じた兄弟は地元の有力者 土師真中知(はじのまつち)に仏像を持って相談したところ土師真中知はこの仏像が聖観音様であることを見抜いて兄弟に教え、自分の家をお寺に改装し聖観音様を安置します。これが浅草寺のはじまりです。

 飛鳥時代に隅田川から引き上げられた聖観音は絶対秘仏として現在も浅草寺の本尊となっています。また聖観音を引き上げた檜前兄弟及び仏像を聖観音であると見抜いた土師真中知の3人は三社権現として浅草神社の主祭神となっているのです。
 このほか浅草寺の山号は「金龍山」といいますが、これはご本尊である聖観音様が見つかったとき金龍が喜びまた聖観音様を守護したという言い伝えからきています。


ご利益


浅草寺 所願成就

 浅草寺の本堂は観音堂ともよばれ秘仏の聖観世音菩薩が安置されています。参拝時には「南無観世音菩薩」と唱え祈願するとよいといわれています。なおお前立本尊は慈覚大師の作といわれ毎年12月13日に公開されています。

※お前立本尊とは秘仏であり一般に公開できない本尊のかわりに安置されている本尊。また浅草寺のご本尊は飛鳥時代から伝わる絶対の秘仏であり一般の人はおろか住職ですら見ることができないというもの。過去に時の将軍や住職、役人などの目撃談が伝えられていますが御本尊の正確なお姿は分かっていません。

 浅草寺のご利益。つまりご本尊である聖観音様のご利益は一言で言えば「現世利益」(げんせりやく)といい、真言や念仏などを唱えることにより菩薩様をはじめとした仏様の恵みをこの世(現世)において受けることにあります。

 また観音様は経典の中で、「施無畏者」とされており、これは人々の「不安」や「恐怖」といった畏れを取り除いてくれる者とされているほか、数ある仏教の仏様の中でも最も慈悲深い仏様とされ、人々の所願を叶えてくれる つまり「所願成就」の仏様ともいわれています。浅草寺の看板にある「仏身円満無背相 十万来人皆対面」とは、宗教や宗派など関係なく、全ての参拝者を受け入れるという意味でありここにも観音信仰の一面を垣間見ることができます。



浅草神社 厄除け

 浅草神社のご利益は一般的には「商売繁盛」「厄除け」といわれています。これは浅草神社の例祭である「三社祭」の本来の趣旨が浅草神社の祭神である3柱が御輿に乗り神幸することにより豊作・豊漁そして疫病退散のご利益を得ることにあることからと推測されます。  
 また境内には浅草神社の末社として被官稲荷神社があり、こちらは就職・出世のご利益があるとして信仰をあつめています。



 浅草寺の境内には上記の他にもご利益があるとしてよく知られているスポットがいくつかありますので、特に有名な所を以下に紹介します。

病気回復の煙

浅草寺の煙   雷門から続く表参道をまっすぐ進むと本堂右側に香炉が見えてきます。この香炉から立ち上る線香の煙は体の悪い部分や病気の所にあてると治癒するといわれています。この煙は他にも体を清めるという意味があるので特に病気や体に悪い部分がなくとも本堂参拝前には煙を浴びるようにしましょう。なお香炉に立てる線香は向かって右側にある受香所で受領することができます。

縁結び

 浅草寺境内において随一の縁結びスポットとしてよく知られているのが「久米平内堂(くめのへいないどう)」です。
 久米平内堂は宝蔵門の手前右手にある小さなお堂で、祀られている久米平内(くめのへいない)は、江戸時代初期の剣の達人です。生前試し斬りと称して多くの人の命を奪った事を悔い、死後は自分の像を境内に埋めて多くの人に踏みつけられることで、殺した人達への供養としました。この「踏みつけ」の行為が文付け(恋文)に通じることから、願文を納めると恋が成就するとされ、手紙が唯一の連絡手段だった江戸時代に恋愛の神様として信仰され、現在も多くの人が縁結びを祈願するスポットとなっているのです。


厄除け

 浅草寺では浅草神社の他に宝蔵門に吊されている巨大な「わらじ」にも厄除けのご利益があるとされています。
 宝蔵門には左右にわらじがありそれぞれ納められており「男わらじ」と「女わらじ」と呼ばれています。そしてこのわらじにふれると「足腰が元気」といわれているほか、魔が近づいてきてもこのわらじを見て「この様な大きなわらじを履くものがこの寺を守っているのか」と驚いて去っていくといわれています。なおこのような巨大なわらじは浅草寺に限らず全国のお寺でよく見られるものです。


一願成就

浅草寺 ほおずき市 浅草寺の本尊である観音様の縁日は毎月18日ですが、特に7月10日は四万六千日と言われ最高のご利益を得られるといわれています。浅草寺では毎年7月9,10日を観音様の縁日「四万六千日」としており、この日にお参りすれば4万6000日(126年間)も日参したのと同じご利益を得られるといわれています(注:よく126年分のご利益と勘違いしている人やサイトも多いのですがあくまでも126年間毎日参拝して得ることができるご利益と一緒という意味です)。
 境内には一言不動尊というお堂がありますのでそちらで「1つだけ願掛け」すると願いが叶うといわれています。また縁日「四万六千日」はほおずき市も立ち、観音経に由来する「雷除けのお守り」が授与されます。


商売繁盛・金運アップ

 浅草寺境内の一番奥まった所にあるのが銭塚地蔵堂です。この地蔵堂には「かんかん地蔵」と呼ばれるお地蔵様が安置されており、 お地蔵様の前に置かれてある小石でお地蔵様の体を軽く叩いて願い事をすると叶えてくれるといわれており、特に財運、金運に関するご利益があるのだとか。
 お地蔵様の名前の由来は石で体を叩いたとき「カンカン」という金属音が聞こえることからきています。またお地蔵様の体はまるでのっぺらぼうのように摩耗していますが、これはこのお地蔵さまから削り取った粉を財布に入れるとお金が貯まるとの噂が広がり体を削る人が後を絶たないから。体を削る行為が正しいのか否かははっきりと分かりませんでしたが、多くの人に信じられているので本項でもご紹介しておきます。



おみくじ


 浅草寺のおみくじは「浅草観音籤」とよばれ他の寺社のおみくじに比べ「凶」の出る割合、確率が高いことでよく知られています。
 実際に地元の方に聞いてみたところ「だいたい2割くらいは凶がでる」と言っていました。では実際のところはどうなのでしょうか?結論からいいますと以下のようになります。

凶の割合・確率

 浅草寺におけるおみくじの各運勢の割合・確率は以下にようになっているとされ

凶30% 吉35% 末吉6% 半吉5% 小吉4% 末小吉3% 大吉17%
※なおまことしやかに噂される「大凶」はないそうです。

 これは古来より伝わる本来のおみくじにおける割合・確率に基づいております。おみくじはどちらかといえば「神社」のイメージが強いのですが、本家本元はお寺である比叡山で、第18世の天台座主「良源」がはじめたといわれています。この時のおみくじの運勢の割合が上記の数字というわけです。また浅草寺の観音みくじは良源がはじめた頃のおみくじの様式に近いとされ、昔のおみくじは観音みくじが主流でした。しかし明治時代の神仏分離令で仏教色の強い観音みくじは神社で使われなくなり、現在主流となっている祭神にゆかりのある人物の和歌が記されたおみくじが使用されるようになりました


もし凶や大凶が出たら

浅草寺のおみくじ 浅草寺の公式HPでは「凶が出た人もおそれることなく、辛抱強さをもって誠実に過ごすことで、吉に転じます。凶の出た人は観音さまのご加護を願い、境内の指定場所にこの観音百籤を結んで、ご縁つなぎをしてください」とあり実際におみくじ授与所には、「凶のみ結びつけて、それ以外はお持ち帰り下さい」と書かれています。

 本来おみくじは大吉が一番よいとされていますが、凶は考えようによっては「今が最悪のどん底」。つまり今以上悪くなることはないとも解釈できるわけで、努力を積み重ねることによって吉に転じることができるわけです。また古来易の世界では「大吉」はもっとも忌むべき卦とされていました。それは現在が一番良い状態であとは運気が下がる一方だから。逆に凶はこれから運気が上がると考えられていました。

 なお大凶はひいてしまった場合、精神的にショックを受ける方が多いので、あえて外している寺社が多く浅草寺においても大凶は入れていないそうです。しかしもし浅草寺においてあるはずのない大凶をひいてしまったら・・・・・・・・・それは特別な意味が込められている神仏からのメッセージかもしれませんね。

※全国の寺社において、おみくじに「大凶」を入れている寺社の割合は5%以下といわれています。