靖国神社の参拝方法・初詣



 靖国神社をテレビのニュースなどで見るとき、よく袴姿やスーツ姿の正装で拝殿に昇り参拝されている光景(主に政治家の方々)が放送されています。このような光景を見ていると実際に私たち一般人が参拝するときも正装でなければならないのでしょうか?特別な作法や参拝マナーなどあるのでしょうか?といった疑問が沸々と湧いてきます。
 本ページではこのような疑問についてご紹介していきたいと思います。


靖国神社の参拝方法


 まず最初に靖国神社における参拝作法は一般の神道と同じ、つまり特別な参拝マナーなどはなく私たち一般人でも普通に参拝することができます。また政治家の皆さんなどが昇殿し(殿内に入ること)参拝している光景をよくテレビなどで目にしますが、これは「昇殿参拝」というもので簡単にいうと本殿内に入り参拝するもので靖国神社独特のものではなく、全国の主な神社でも行われています。その年の仕事始めの日などに最寄りの神社へ行くと正装姿の方々が本殿内でご祈祷のようなものを受けていることがありますが、これは企業や会社などが神社に申し込んで昇殿参拝をしている光景と考えてほぼ間違いないでしょう。ちなみに私たち一般人が普段社殿前でお参りすることを「略式参拝」とよんでいます。


参拝の仕方・マナー・作法

 まず最初に一般的な略式参拝の参拝マナー及び作法についてご紹介します。といっても前述のとおり特別な参拝マナーはなく一般的な神道の作法です。これは広く知られていますので本項では簡単に説明しておきます。


 まず神社の玄関口でもある鳥居をくぐる際は必ず一礼をしましょう。鳥居は一の鳥居から順番にくぐるのが基本で、参道の中央は神様の通り道ですから、真ん中を歩くことはやめましょう。そして参拝前には手水舎で禊清めをし参拝をします。参拝方法は一般的な二拝二拍手一拝です。
 なお参拝作法・マナーについては伊勢市の観光協会が漫画で分かりやすく紹介していますので参考にしてみて下さい。
伊勢市観光協会のHPへ
伊勢市観光協会




昇殿参拝(正式参拝)

 昇殿参拝とは神職の先導の元、拝殿に昇殿させて頂き、参拝者の方が拝殿にて参拝をすることです。参拝時の服装は正装が基本ですが平服でも構い場合が多いです。
 地元の鎮守の宮司さんに聞いたところ厳密に言えば「昇殿参拝」と「正式参拝」とは異なるものなのだそうですが、最近は特に区別はしてないところも多いのだとか。どちらか迷ったときは申し込みの時に参拝の意味(「願い事を祈願したい」とか「神様に感謝の意を伝えたい」など)を伝えれば適切な参拝方法を教えてくれると思います。

 靖国神社では主に昇殿参拝と呼んでいますが、そのマナーや作法については公式HPで詳しく紹介されていますのでそちらを参考にして下さい。なお昇殿参拝時は宮司さんが作法や仕方・マナーなどを親切に教えてくれるのでさほど身構えなくても大丈夫です。

参拝時間 8時〜16時30分(11〜2月は16時まで)

服装 平服でも可

玉串料(初穂料) 目安として一人2,000円以上

所要時間 おおよそ20分前後

※靖国神社といえば昇殿参拝のイメージが強いですが、普通の神社同様一般のご祈祷や七五三なども行っています。


靖国神社の初詣


靖国神社の初詣 靖国神社には毎年25万人を超える方々が初詣に訪れます(明治神宮約310万人、浅草寺約280万人)。交通の便もよいうえに極端に混雑しているわけでもないのが良いのか初詣の評判もよい神社となっています。

時間

大晦日〜元旦 31日 11時30分〜1月1日 18時30分

1月2日・3日 6時〜18時

1月4日以降 6時〜17時:00〜17:00(通常通り)

上記の時間は閉門時間です


混雑

 上段で「靖国神社は極端に混雑しているわけでもない」と記載しましたが、それはあくまで明治神宮や浅草寺といった超有名神社と比べてのお話。大晦日や元旦は当然の事ながら順番待ちの行列ができます。また一般的に元旦の午前中は若干混雑が緩和される傾向にありますが、靖国神社に限っては1日の8時から新年祭が行われるので慢性的に混雑が続く状態となります。「まぁ適度な混雑は初詣の風物詩」と割り切って参拝されるのが一番かなとは思いますが、一般的に初詣は7日までに行けばよいとされていますから(初詣の期間についてはその地方によって様々です)混雑を避けたい場合は4日〜7日の間に訪れるのも一案だと思います。ただし屋台などは撤収済みの状態となっています。


ご利益

 靖国神社におけるご利益は国家安泰・家内安全などがありますが、詳しくは下段に「靖国神社のご利益」をご覧下さい。



靖国神社のご利益


 まず最初に靖国神社は「国のために尊い命を捧げた御霊を祀る」神社であり、慰霊の施設です。つまり神様に祈願することを主たる目的とした一般的な神社とは創建趣旨が異なるという点を大前提としたうえでご利益についてご紹介していきます。

 靖国神社に祀られている英霊 つまり祭神は2百万柱以上にもおよび、その内訳は戦地で亡くなった方や、看護師、医師などの軍属として戦地に行き亡くなった方、第二次世界大戦中戦いに巻き込まれ亡くなった一般人なども含まれています。これらの方々は皆国の平和を願い亡くなっていったわけですから、当然国家安泰のご利益がある。一般的にはこのように言われています。

 また家内安全・健康のご利益もあるとされていますが、この由来はよくわかりません。ただ家内安全・健康のご利益については戦前から信仰されており、子供の健康を願い神様に報告する「七五三」のお参りの為に多くの家族が靖国神社を訪れていますしその時の写真もいくつか見つかっています。 



靖国神社に合祀されている英霊

 最後にご利益と祭神の関係は切っても切れない関係にありますので、靖国神社に祀られている主な英霊をご紹介します。この英霊達の生前の活躍を鑑みお願い事をしてみるのもよいかもしれません(注:これはあくまで筆者個人的な意見です)。


坂本龍馬
 明治維新の立役者。日本で初めて株式会社の思想を取り入れた会社を設立し、奇抜な発想で薩長同盟を成立させるも明治維新前夜に暗殺される


吉田松陰
 明治維新や日本近代化に尽力した多くの志士を育てた思想家。1859年に江戸幕府の命により斬首刑となる


高杉晋作
 吉田松陰の弟子の1人。奇兵隊を率い幕府軍を破り倒幕のきっかけを作るも病気により死亡。その破天荒な生き方から根強いファンも多い人物


山本五十六
 太平洋戦争開戦時の連合艦隊司令長官。先見の眼を持ち対米戦争には反対の立場をとるも、いざ開戦となると空母機動部隊による真珠湾攻撃を立案・成功させる。昭和18年に軍用機にて移動中米軍機に襲撃され亡くなる。


ひめゆり女学部隊
 アメリカ軍の沖縄上陸に備え結成された女学生の部隊。その多くが沖縄戦で若い命を散らします。彼女らの慰霊碑「ひめゆりの塔」は不戦・平和のシンボルとして現在も参拝する方が絶えません。