雲海



 標高300mほどの山城跡である竹田城跡を天空の城へと変えてしまう雲海。この雲海はいつでも見られるわけではなく、特定の気象条件が重なった日にだけ見ることが可能で、時期的には9月下旬〜12月上旬のよく晴れた早朝によく見ることができます。
 この雲海の正体は「霧」で、発生源は兵庫県を南北に縦断し日本海に注ぐ円山川から立ち登ったものです。ですから円山川の水温が温かく、かつ大気の温度が低いと大量の霧が発生し竹田城も雲海に覆われる確率が高くなるのです。

 以下に竹田城が雲海に覆われる目安を紹介します。

@気象庁から「濃霧注意報」が発表される。
A無風もしくは風が弱く発生した霧が停滞しやすい。
B日中と朝方の気温差が大きく霧が発生しやすい状況にある。

 個人で雲海を予想する場合は前日及び当日の天気(晴れ)、風速(2m以下)、最低・最高気温の差(おおよその目安として10度以上)この3項目がポイントとなります(あくまでも目安で100%雲海が発生するというわけではありません)。
 なお上述してあるとおり雲海は時期的に秋によく見られますが、気象条件が合えばいつでも発生するわけで、地元の方の説明ではごく稀にではありますが春先の時期(GW前後)にも見られることがあるのだそうです。


雲海


晩秋の竹田城 竹田城の本丸跡から見た南千畳。本丸は山頂部の一番高い所にあるので、そこからの眺めは抜群。雲海が発生していなくても晴れた日には眼下に城下町が広がり開放感溢れる光景が広がります。


竹田城の雲海 竹田城の雲海。雲海は竹田城の代名詞ともなっているが、この雲は播磨の地を縦断し日本海に注ぐ大河、「円山川」から立ち上る水蒸気が供給元となっています。



雲海の時期と時間帯


 雲海を見ることができる確率が高い時期というのは上述してあるとおり9月下旬から12月上旬にかけて。この時期は
円山川の水温と南播磨地方の気温のバランスがちょうどよく、放射冷却現象が発生すると(風のないよく晴れた日の夜から早朝に発生しやすい)、播磨地方が濃霧に覆われるのです。また時間的に霧は条件が整っていれば夜半過ぎから発生し、朝方には播磨地方を覆うほどのボリュームとなります。この為日の出直前に山頂へ到着するようにするのが一番ベストのようにも思えますが、雲海の発生する時期には午前3時頃から竹田城に行く人もみられ(竹田城に入れるのは4時過ぎからです)、夜とはいえ意外と賑やかなので防寒着や懐中電灯等の装備が万全であれば夜半から行動を開始してみるのもよいでしょう。
 またタイミング的にはもし雲海が発生していればその日の気象条件にもよりますが、日の出から2〜3時間後まで眺めることができます。なお一般的に雲海がもっとも立ちこめ、濃く見える時間帯は日の出から2時間後といわれています。

兵庫県の日の出時間 
 9月30日 5時53分
 12月1日 6時48分


雲海を見るためには(アクセス)


 前述してあるとおり、雲海を見るためには秋の早朝に山頂に行かなくてはなりません。車で行く場合最寄りの駐車場となる「山城の郷」から山頂までは徒歩で40分ほど(近年土日祝日は午前8時まで乗り入れ禁止となりましたが、代わりに早朝から雲海バスが運行しています)。雲海シーズン中は夜中の早い時間帯から駐車場も満杯となってしまうので場合によっては駅周辺の駐車場に車を駐めるか、前の日から宿泊して駅からタクシーで行くのも一案です。この場合は朝早いため事前予約が必要となりますが、タクシーの運転手は慣れたもので、雲海が見たいと予約の際に言っておけばベストのタイミングで送ってくれます。また雲海に浮かぶ竹田城の光景もよく見かけますが、こちらは竹田城の東側にある立雲峡から見た光景です。立雲峡については別途紹介していますので、そちらのページを御覧下さい。


雲海バス

 雲海バスは雲海のシーズン時、駐車場の夜中からの混雑や路上駐車などの問題に対応するために朝来市が企画している臨時のシャトルバスで、10月上旬から11月下旬までの土日祝日限定で運行しています。
 臨時の駐車場は朝来市の商業施設「イオン和田山店」に設けられ、そこから山腹の「山城の郷」までバスで結んでいます(所要時間20分ほど)。行きは4:00〜6:20、帰りは7:00〜9:20の時間帯におよそ20分間隔(料金は大人片道500円)で運行しています。

問い合わせ先:079-672-6141 朝来市竹田城課


注意点


 一般的に竹田城は石垣の下すれすれに雲海が立ちこめている光景が知られており、雲海が発生しても竹田城そのものが覆われてしまうことはないと思われているようですがそんなことはありません。相手は自然ですから人間の思い通りにはなりません。雲海ははるか眼下に広がる事もあるし、自分たちを含めて城や山全てを覆い尽くしてしまうこともあります。仮に雲海に覆われてしまったとき、この時雲海の中は霧雨状態となっていますから、服やカメラも含めてしっとりと濡れてしまいます。おまけに気温は2〜3度前後となっているはずですから、無風でもかなりの寒さとなる場合があります。雲海を狙って竹田城に行くときは天気が晴れの予報でも濡れても大丈夫な装備で出かけるようにしましょう。
混雑状況