仏ヶ浦 信仰



 仏ヶ浦は地元では霊場恐山からみて浄土がある方角とされる西側に位置することから、昔から死者があの世に旅立つとき、もしくはこの世に戻ってくるときに立ち寄る所といわれ、今でも海岸に点在するお地蔵様や奇岩へご詠歌を奉納する風習が「仏ヶ浦まつり」として残っています。昔の人はあの世(極楽)は海の向こう側にあると信じており、ましてや仏ヶ浦がある牛滝地区は陸路では行くことができない(舟でしか行くことができない集落)陸の孤島だった為、巨大な奇岩が立ち並ぶ仏ヶ浦地区を死者の通り道として信仰したものと考えられています。観光名所として有名な仏ヶ浦ですが、上述のように霊場としての側面も持ち合わせているので訪れた際にはむやみやたらにはしゃいだり、騒いだりするのは慎むようにしましょう。


地蔵堂


仏ヶ浦の地蔵堂 仏ヶ浦の地蔵堂。仏ヶ浦信仰の中心となるお堂で現地の方の話ではその昔仏ヶ浦に流れ着いたお地蔵様を祀っているお堂。海上安全、豊漁の守り神として信仰され遠くからお参りに来る人が絶えないのだそうです。

桟橋から見た仏ヶ浦の地蔵堂 観光船の桟橋から見た地蔵堂。地蔵堂は駐車場から下ってくる遊歩道沿いに建てられている。なおお地蔵様は地蔵堂の他にも風雨のあたりにくい岩陰などに数体安置されています。



砂浜に積まれた石


仏ヶ浦の砂浜 仏ヶ浦の砂浜。小石が積み上げられているのは恐山同様幼くして亡くなった子供達を供養する意味があると思われます。むやみやたらに触れたりする行為は慎みましょう。


仏ヶ浦は心霊スポットなのか?


 仏ヶ浦は昭和の心霊ブーム真っ盛りの時、ある霊能力者が「ここは霊の通り道」とコメントしたのがきっかけで、その名称や光景から心霊スポットとして噂されるようになりました。また心霊スポットの根拠として潮流の関係上水難事故に遭った方々の遺体が流れ着きやすいことも影響していたようです。
 仏ヶ浦が心霊スポットか否か。本ページではコメントは差し控えさせていただきますが、過去に多くのご遺体が打ち上げられたことや、地元では現世とあの世を結ぶ境目であると信じられ信仰されていることなどを考慮すると、やはり面白半分で悪ふざけをしたり騒いだりするような所ではないと思います。なお仏ヶ浦を散策した後、観光船に乗る際「砂を落として下さい」と言われる事があります。硫黄島や恐山などでも現地の砂や石を持ち帰ると不吉なことがおこるとされ固く禁じられていますが、仏ヶ浦でも同じような事が言われているのかもしれませんね。