パワースポット 石上神宮



 神社のすぐ近くまで森がせまり、境内には凜とした空気がただよう石上神宮。
 古代信仰の特色を今に伝え、その歴史は言い伝えによれば飛鳥時代より以前、古墳時代はたまた弥生時代にまでさかのぼる古社で、古代日本において軍事部門を司っていた物部氏の総氏神とされています。御祭神は当時の武器である「剣」に宿る霊威という他の神社に比べ少々異彩を放つ神社でもあり、近年は健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就といったご利益があるパワースポットとして多くの参拝客が訪れる神宮となっています。


石上神宮の神様


 本ページでは石上神宮のパワースポットたる由縁やご利益をご説明していきますが、これらを知る上で石上神宮に祀られている御祭神について理解を深めることは非常に大切で重要なことなので、まず最初に石上神宮における御祭神をご紹介していきます。


主祭神

布都御魂大神 (ふつのみたまのおおかみ)
 布都御魂大神とは布都御魂剣の霊威とされ、布都御魂剣は古事記・日本書紀における出雲神話 国譲り編にで活躍する武甕雷神(たけみかづちのかみ)が持っていた剣とされています。後に神武天皇が天下を平定する為に行った東征の際には熊野の山中で土地の神の毒気にあたり、神武天皇と兵士は気を失ってしまいますが布都御魂剣を授かることにより、たちまち目を覚まし荒ぶる神々を追い払い国土を平定することができました。
 石上神宮ではこの時の剣を御神体とし、剣の霊威を御祭神としているのです。


配神

布留御魂大神 (ふるのみたまのおおかみ)
 ニニギノミコトが天孫降臨の際に祖母にあたる天照大神から授かった十種の宝である「天璽十種瑞宝(あまつしるしとくさのみづのたから)」に宿る霊威とされています。天璽十種瑞宝は十種神宝(とくさのかんだから)ともいい、天津神の子孫であることを示し神宝のひとつには「起死回生の霊力」を持つものもあるとされています。



布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)
 布都斯魂は素戔嗚尊(すさのおのみこと)が出雲国で八岐大蛇を退治した際に使用された剣「天十握剣」(あめのとつかのつるぎ)に宿る神霊とされています。


宇摩志麻治命(うましまじのみこと)
 物部氏の祖先とされる饒速日命(にぎはやひのみこと)の子で、十種神宝の管理を父から引き継ぎ宮中の祭祀も司ったとされています。


五十瓊敷命(いにしきのみこと)
 第11代垂仁(すいにん)天皇の皇子で、第12代景行(けいこう)天皇の兄にある人物。石上神宮の神庫の管理をする任をされていたとされています。


白河天皇(しらかわてんのう)
 第72代の天皇で、石上神宮の祭神のなかでは唯一実在が確認されている人物で、上皇となり院政を行ったことで有名です。歴代の天皇のなかでは石上神宮に対する崇敬が特に厚く、1081年には宮中の神嘉殿(しんかでん)を拝殿として寄進しています。なおこの拝殿は現存し国宝にも指定されています。


市川臣命(いちかわおみのみこと)
 第5代孝昭(こうしょう)天皇の皇子を祖とし、餅の原型となる「しとぎ」を作った米餅搗大使主命(たがねつきおおおみのみこと)の子とされる人物です。物部氏を補佐し石上神宮の祭祀を司っており、石上神宮社家の祖とされる人物です。



石上神宮のご利益


 石上神宮におけるご利益としても健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就などがよく知られていますが特に有名なのが「起死回生」の効果です。これは石上神宮に祀られている祭神に由来するものです。また石上神宮の秘密の神事として「玉の緒 祭」があります。本項ではこれら石上神宮における起死回生と玉の緒についてご紹介していきます。



起死回生

 起死回生とは「死にかかった人を生き返らす」ことを意味し、絶望的な状況から立ち直らせること等にも用いられます。
 前段の「主祭神」の項でもご説明していますが、神武天皇は天下平定の東征の折、熊野の山中で土地の神の毒気にあたり仮死状態となり絶体絶命の状況に陥ってしまいます。この時石上神宮の主祭神である「布都御魂大神」の霊力により蘇生し熊野の荒ぶる神々を追い払うことができました。まさに起死回生であり、この言い伝えにより絶対的なピンチから救ってくれたり、殆んど望みのない状態から盛り返す効果、つまり起死回生のご利益があると信じられているのです。
 また配神である布留御魂大神も起死回生の霊力を持っているとされています。


玉の緒

 玉の緒とは魂を身体につないでおく「緒」のことを意味し(分かりやすく言えば「魂の緒」のようなもの)、石上神宮では毎年節分の前夜に全ての穢れや邪気を払い、清められた生命を神威によりその人に結び留める玉の緒祭と呼ばれる秘儀が行われます。この神事は秘儀であるため殿内の照明はすべて消されたなかで、寒さもピークを迎える時期に行われますが、毎年500人を越える参列者が訪れています。

石上神宮 玉の緒守り 石上神宮ではこの「玉の緒」にちなんだお守りも授与することができ、こちらは浄化や再生といったご利益があるとされています。


剣のお守り(御神剣守り)


石上神宮 御神剣守り 剣に縁のある石上神宮ですが、当然の事ながら剣をモチーフにしたお守りもお受けすることができます。剣のお守りは御神剣守りといい、石上神宮の御神宝である「七支刀」が描かれています。
 主祭神の布都御魂大神が「仮死状態となった神武天皇を蘇生させ危機を救った」という故事にちなんで「起死回生」のお守りとしてお受けする人が後を絶ちません。