八坂神社のご利益



 八坂神社は明治までは牛頭天王(もとはインドの祇園精舎を守護する神様)が祀られていましたが、のちに須佐之男命と習合され現在は須佐之男命を祭神としています。
 八坂神社のご利益としては牛頭天王が防疫神であることから疫病除け厄除けのご利益があるとされ、有名な祇園祭も病魔退散の為の祇園御霊会が起源といわれています(869年に疫病が流行した際に祇園社にお祈りしたのが始まりとされています)。また夏越しの祓の神事で茅の輪をくぐり穢れを払う風習や蘇民将来之子孫也の護符をつけた粽を受け疫病除けとするのも牛頭天王信仰からきていますし、大晦日の夜から元旦にかけ行われる、年越しの伝統行事「おけら詣(まい)り」で灯される灯籠の火には邪気を払う力があるといわれています。
 須佐之男命を祀る祇園社は厄除け祈願で知られていますが、その総本山である八坂神社は厄除け祈願の総元締めといってもよいほどご利益がある神社なのです。

 なお八坂神社のパワースポットとしての属性は「火」とされています。また属性の調べ方や考え方については別途「パワースポットの属性」のページを参照。



ご利益 一覧


厄払い(疫神社)

疫神社(八坂神社)  日本全国にはその昔、祖神(そしん、=素戔嗚尊)が諸国を旅していた時、日が暮れてしまったので宿を請うたところ、巨旦将来(こたんしょうらい)は富み栄えていたにもかかわ らず宿を貸さず、一方蘇民将来(そみんしょうらい)は貧しいにもかかわらず粟穀で座を敷き、粟の粥で手厚くもてなしました。祖神はその心に喜び、蘇民将来に、後年疫病が流行ったとしても、茅の輪をつけ、「蘇民将来の子孫なり」といえば疫病を免れると約束しました。その後、疫病が流行り、巨旦将来の子孫はすべて絶えてしまいましたが、蘇民将来の子孫は生き残り今も栄えているという言い伝えが残っています。
 疫神社は、その素戔嗚尊から疫病を免れる茅萱を授けられた蘇民将来が祭神として祀られており。毎年7月31日には、大茅輪が設けられ、夏越祓が行なわれています。




美御前社(うつくしごぜん)

八坂神社 ご利益 美御前社 境内にある美御前社(うつくしごぜん)は宗像三女神が祀られており、こちらは美容と芸能、財福(宗像三女神のうちの1柱は七福神の弁財天と同一とされている)のご利益があると云われています。美御前社前に湧いている「美人水」と呼ばれる御神水を2,3滴肌につければ美肌になると言われており、昔から美と芸の上達を祈願する祇園の舞妓さん達から信仰を集めている社となっています。

宗像三女神
 素戔嗚尊と天照大神の誓約(うけい、『そうならばこうなる、そうでないならば、こうなる』とあらかじめ宣言を行い、そのどちらが起こるかによって、吉凶、正邪、成否などを判断する)で生まれた神です。天照大神が素戔嗚尊の持っている十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から以下の三柱の女神(宗像三女神)が生まれました。系譜ではスサノオの娘とされています。なお宗像三女神の各々の神名は市杵島比売神、多岐理比売神、多岐津比売神。



縁結び(大国主社)

 大国主社は「因幡の白兎」で有名な大国主命が祀られており、大国主命が白兎を助けた縁で八上比賣(やがみひめ)という美しい姫を妻に娶ることができた言い伝えから縁結び及び出会いのご利益があるとされ毎年多くの女性が参拝に訪れています。大国主は素戔嗚尊の子孫にあたり、七福神の大黒様と同一神とされている福の神で、6人の妻を娶り180人の子をもうけています。なお大国主の言い伝えについては別途「出雲神話」を参照。



悪縁切り・未来を切り開く(刃物社)

刃物神社 刃物社は元来鍛冶屋の皆さんがお参りする社でしたが「キレイに切れる」という意味合いから彼氏とキレイに別れたい!などといった悪縁を断ち切りたい方が多く参拝するようになりました。また、未来を切り拓く!という意味合いから新たな事への挑戦を挑もうとしている方もよく訪れます。


御守り


 八坂神社並びに境内の末社で受けることができる御守りは上記のご利益にちなんだものが多く人気のご利益アイテムとなっており、以下に代表的な御守りを紹介します。


御守り

  いわゆる八坂神社における一般的なお守り。プレゼント用に授与される方も多いそうです。


勝守り

 勝負事にご利益のある御守り。試験や試合、大事な商談などこれから勝負ごとに臨む方にぜひ。


美守(うつくしまもり)り

 女性のために祈願された美顔成就のお守り。美御前社でお受けすることができ、女性をイメージさせる丸くピンクの花柄模様となっています。


良縁成就守り

 いくつもの良縁に恵まれ地上の覇者となった大国主にあやかった御守り。カード型になっているので、財布などに入れておくことが可能。もちろん女性に対してもご利益満点。

 以上が八坂神社で人気の御守りですが、 この他にも、「金運」「交通安全」「子宝安産」などのお守りも授与することができます。また、自分の誕生月の誕生月花御札御守がおすすめです。1月なら松、2月なら梅…と、それぞれ違う絵が入っています。


疫病よけ おけら詣り


 おけら詣りとは京都東山の八坂神社で31日夜から元旦にかけ行われる年越しの伝統行事。参拝客らは邪気を払うとされる灯籠(とうろう)の火を「吉兆縄(きっちょうなわ)」と呼ばれる縄に移し火が消えないように縄をくるくる回しながら家に持ち帰る。
 なお「おけら」とは キク科の植物で薬草の一種。このおけらを燃やした「おけら火」を火縄につけ、この火で炊いた雑煮を食べると1年の無病息災がかなうといわれています。


御祭神(素戔鳴命)


 八坂神社の御祭神は素戔鳴命(すさのおのみこと)と妻の櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)。そして素戔嗚尊の子供達である八柱御子神(やはしらみこがみ)です。
 素戔嗚尊は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が妻であり亡くなった伊弉冉尊(いざなみのみこと)に合いに黄泉の国へ行った際の汚れを落としたときに生まれた神で、系譜上は伊弉諾尊と伊弉冉尊の子供で天照大神の弟にあたります。
 古事記では初期の頃の素戔嗚尊は子供っぽく粗暴な性格に描かれており、天の岩屋戸事件を起こし高天原を追放されてしまいます。追放された素戔嗚尊は今度は分別のある英雄として描かれ、出雲の国、簸川(ひのかわ)の上流に住み着き民衆を苦しめていた八つの頭と八つの尾をもった八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、捕らわれていた櫛稲田姫を救い、大蛇の尾を割いて天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を得、この剣を姉の天照大神(あまてらすおおみかみ)に献じます。これが現代まで伝わり熱田神宮に納められている三種の神器のひとつ「草薙の剣」です。助けられた櫛稲田姫は素戔嗚尊の妃になり、その後八柱御子神(八王子)を生んだとされています。
 なおその後、素戔嗚尊は出雲神話にも登場しこの時は根の国(一般的には黄泉の国と同一と考えられています)に住み、兄弟に追われ逃げてきた大国主命が娘の須勢理姫と恋仲になったことをよく思わず、大国主命に無理難題をふきかける意地悪な神様として描かれていますが、最後は大国主命に地上の支配者になるよう助言もしています。


八坂神社にまつわる不思議な話


 八坂神社元来の本尊(素戔嗚尊と習合する前)は前述した牛頭天王の他にその妻である頗梨采女(はりさいじょ)と娘の蛇気新龍王女(だきしんりゅうおうじょ)の3人です。頗梨采女は竜王の血族の為、娘の蛇気新龍王女と共に蛇体の姿をしているといわれ、このことと関係があるのか八坂神社本殿の床下には竜神信仰には欠かせない深い池があると云われています。またこの池は二条城の南にある神泉苑とつながっている(神泉苑の境内は大部分が龍神が住むといわれる大きな池になっている)といわれています。 
 京都盆地はその昔は大きな湖で今も地下には琵琶湖に匹敵するほど大量の水が蓄えられています。つまり京都盆地は巨大な湖に浮かんでいるような状態なのです。この為、神泉苑の池と八坂神社本殿の池が地下の水脈をかいしてつながっていてもなんら不思議ではなく、そのことを偶然発見した昔の人が不思議に思い語り継いだのかもしれません。

 なお本殿向かって右側、摂社の悪王子神社の隣では、龍穴から湧いている「力水」という御神水が汲める場所があります(飲み水として使う場合は沸騰が必要) 。また社務所では、龍穴から湧く清水で祓い清めた「青龍石」というものも販売されています。 この石は、神棚か、家の中心より東においてお祀りすると、福を呼ぶといわれています。