伊勢神宮の鶏



天岩戸伝説

 日本神話では天照大御神が弟神のスサノオ神の勝手乱暴な振る舞いに心を痛めて天の岩戸に引きこもってしまう場面があります。太陽神である天照大御神が天の岩戸に引きこもってしまうと世の中は真っ暗になってしまい、闇夜に乗じて悪神がうごめき世界は災いに満たされてしまいました。そこで八百万の神々が集まり相談し知恵の神様である思金神(おもいかねのみね)が頭を絞って一策をこうじます。まず天の岩戸の前で暁をつげる「長鳴鳥」を鳴かせ祝詞を唱えます。そして岩戸の前で芸能の女神である天宇受賣命(あまのうずめのみこと)が踊り狂い、その姿を見た神々が笑い転げます。神々の笑い声を聞いた天照大御神が何事かと天の岩戸を開いたすきに手力男神(てじからおのかみ)が天照大御神の手を取って外に引き出し世界は再び明るくなったのです。
 この神話の中に出てくる朝を告げる鳥、長鳴鳥は鶏であると考えられ(注:神話の中では鶏とは記されてません)やがて鶏は神の使いと考えられるようになったのです。


伊勢神宮の鶏


伊勢神宮の鶏 伊勢神宮の鶏。日本神話において鶏は朝の訪れを告げる神の使いとされており、天照大御神を祀る伊勢神宮の境内にはたくさんの鶏が放し飼いにされている。これらは神鶏と呼ばれ、人が近づいても全く怖がらなかった。
伊勢神宮 内宮の鶏 伊勢神宮境内を自由に闊歩する鶏。こちらの鶏は尾が他の鶏に比べると長い。これら神宮内の鶏の数はさほど多くはないのだが伊勢神宮内にいるためかどこか気品の高さを感じる。