伊勢神宮 「参拝方法とご利益」




まずは外宮へ
 内宮外宮2つの宮がある伊勢神宮。一般的には外宮を先に参拝してから内宮へと言われています。伊勢神宮の公式HPでも「神宮参拝の順路は、多くの場合まず外宮からというのが古来からのならわしです。」と記されています。しかし実際おかげ横町など現地の方々に話を聞くと「よく外宮からっていうけどあまり関係ないんじゃない?」という返事が返ってきます。しかも公式HPでも「古来からのならわし」と記していただけで「絶対に外宮から参拝しなければいけない」とは記していません。参拝する立場から都合のよいように解釈すると「基本は外宮からですが、わざわざ遠回りになる場合やアクセスの都合上内宮からの方が便利な場合は内宮からでも構わない」といったかんじでしょうか?
 ただし、内宮だけもしくは外宮だけといった片方だけの参拝は「方まいり」といわれ避けるべき事とされています。また神宮におけるあらゆる行事は「外宮先祭」と言われ、外宮から先に行われていることを補足として付け加えておきます。基本的には外宮からというのが良しなのかもしれません。


境内の歩き方
 伊勢神宮に限らず全ての神社共通事項ですが、参道の中央は神様がお通りになる道ですので一般の参拝客が道のど真ん中を歩いてはいけません。神宮内の石段や橋には中央に分離帯のような物が設けられていますので間違って歩くことはないと思いますが、境内の参道を歩く際はなるべく道の隅を歩くようにしましよう。
 また一般的に外宮は左側通行、内宮は右側通行とされています。なおトイレは内宮は社務所から先、外宮は鳥居から先にはありませんので事前に用は足しておきましょう。


参拝の仕方
 神社の玄関口でもある鳥居をくぐる際は必ず一礼をしましょう。そして参拝前には手水舎で禊清めをし、参拝をします。参拝方法は一般的な二拝二拍手一拝です。
 ↓伊勢市の観光協会がHP上で作法を漫画で分かりやすく紹介していますので参考にしてみて下さい。
伊勢市観光協会



伊勢神宮ではお願い事をしてはいけない???
 伊勢神宮は昔から日本人の憧れの場所であり、江戸時代には「男子ならば伊勢神宮と吉原は一度は訪れるべし」といわれたほど。平成25年の遷宮にあたり色々テレビでも取り上げられたので知っている方も多いと思いますが実は伊勢神宮の正宮(一般の神社で拝殿にあたる建物)では個人的なお願いをしてはいけません。正宮は神様に感謝し公の願い事、つまり国家安寧や世界平和といったことを願う場所なのです。
 それではわざわざ遠い所から伊勢神宮までやって来たのに個人的な願い事をしてはいけないのでしょうか?そんなことはありません「希望大学に合格できますように」とか「素敵な人に巡り会えますように」といった個人的な願い事は荒御魂(あらみたま)が祀られている別宮でお願いすることができます。具体的には伊勢神宮の内宮では荒祭宮(あらまつりのみや)、外宮では多賀宮(たかのみや)、この2つの宮が個人的な願い事を聞き入れてくれる宮となっています。特に外宮の多賀宮は「物事の始めに参拝すると良い」とされています。なお荒御魂とは神が特別な状態もしくは神が現れた状態のことを意味します。


朝が一番??
 伊勢神宮の参拝は朝が一番とよく言われます。それは朝は1日のなかでもっとも空気が澄み身も心も清浄な気分となるからでしょう。神宮に縁のある皇室の方もテレビで「伊勢神宮は朝がもっとも気が充実する時間」と言い早朝の参拝を勧めていました。
 では実際に早朝参拝をしてみると・・・・・・・・境内全体に厳かな雰囲気が漂い昼間とはまったく違った空間にいるような錯覚すら覚え筆者達から見てもおすすめの時間帯でした。しかし色々気をつけないと行けないこともありましたので以下に紹介してみます。

・宇治橋の鳥居から登る日の出を見るには 
 内宮の五十鈴川に架かる宇治橋の通りはちょうど冬至の日に鳥居の真ん中から朝日が昇ることで有名です。この為、冬至から元旦にかけては多くの方が早朝内宮に訪れるのですが・・・・・・一般的に言われているように外宮から参拝するとなるとまだ夜の明けきらぬ薄暗いうちから外宮を参拝して内宮に来なければなりません。しかし日の出を眺めに訪れた方々に聞いてみると、ほとんどの方が先に内宮の方を訪れていました。あくまでも先に外宮から参拝するか、それとも今回は内宮から参拝するか。判断するのは皆さんですがこのような場合は先に内宮から参拝してもよいような気がしますね(あくまでも個人的な意見です)。

・早朝はバスもタクシーもありません
 朝の清々しい雰囲気を味わおうと早朝に神宮に出かけようとしても実は早朝はバスは運行しておらず、タクシーも予約でいっぱいでした(おそらく早朝は交通手段が無いことを知っている人達が予約しているのでしょう)。この為、宿や駅からの交通手段が無いのです。車で来られた方には問題ないかもしれませんが、公共交通機関を利用して伊勢に来られた方は注意が必要です。

・早朝訪れるなら初夏
 これは個人的な意見ですが、もし早朝に神宮を訪れるのであれば昼間の時間が最も長い夏至前後に訪れるとよいでしょう。神宮は5時から参拝可能です。三重県における夏至の時期は4時40分頃が日の出となっています。この為参拝可能な5時頃はすでに明るく、またうっすらと朝靄がかかり初夏でありながらもどこか冷気を感じるというまさに神様と同じ空間にいるような感じさえ覚える時間帯なのです。


伊勢神宮のご利益ってなに???
 日本最大のパワースポットともいわれる伊勢神宮。ではそのご利益とはなんなのでしょうか?実は江戸時代より続くお伊勢参りとは命を授かり生活している事を神様に感謝するためのもので、私的なご利益や祈願をするものではありません。それでは伊勢神宮に参拝してもご利益などないのでしょうか?そんなことはありません神様の前で自らの決意を表明し努力することを誓い以後努力を怠らなければ祈願が成就するとされています。大きな目標を持っている方、大学受験などこれから大事に挑もうとしている方、はたまた素敵な人に巡り会いたい方、どのような些細な願い事でも努力を怠らなければ成就する。これが神宮のご利益なのです。なお前述していますが個人的な願い事は正宮ではなく内宮では荒祭宮、外宮では多賀宮で祈願して下さい。

実は誰でも本殿の御垣内に入れる???
 神宮内において一般の人が入ることを許されているのは本殿前まで。ですから参拝も本殿の御垣前(玉垣内)で行うのですが、実は奉賛金(1,000円以上)を納めることで参宮章が授けられ御垣内を案内してもらうことができ、これを「特別参拝」といいます。筆者達は実際に特別参拝をしたことがないので本ページにおける詳細な説明はできませんが、特別参拝の際には服装も礼服もしくはそれに準じたものでなくてはならず、「旅の思い出作りに気軽に特別参拝をする」というわけにはいかないようです。特別参拝については神宮の公式ページで説明してますので興味のある方は一度チェックしてみて下さい。


荒祭宮


伊勢神宮 荒祭宮 伊勢神宮の内宮の荒祭宮(あらまつりのみや)。天照大御神(あまてらすおおみかみ)の荒御魂を祀る別宮で神宮内殿にある他の社殿よりひとまわり大きく、威厳に満ちた社殿となっている。説明では「内宮に所属する10の別宮のうち第一に位するお宮」とあり、御正殿に次ぐ第一別宮として別格の存在となっているようだ。

多賀宮


伊勢神宮 外宮の多賀宮  伊勢神宮外宮にある多賀宮。こちらは外宮の主祭神である豊受大御神の荒御魂が祀られている。多賀宮は境内一番奥の石段を登った先にあり、正宮からは参道を挟んで反対側にある小高い丘の上に建てられている。