熊野古道 服装の基本



熊野古道 熊野古道と一言で言っても道は色々あり石段があれば登山道や舗装道路、はたまた砂浜や海岸の岩場まで様々です。
 熊野古道の目的地である熊野三山の標高は700mほど、古道の標高は高い所でも800mほどですから、イメージ的には登山というよりはトレッキングに近いかんじとなります。とはいえ山中はまさに「古道」そのものですし、海岸沿いの比較的ひらけた地域でも一般道からは外れている部分もおおく自動販売機や売店、食堂なども無い区間も多く見られます。基本的な装備としては本格的な登山装備は必要ありませんが、山登りをする際に必要な最低限のものは用意しておきたいところです。

 なお近年は数日分の食料や水を持ち、野営しながら2~3日かけて古道を踏破する「ロングトレイル」のスタイルも外国人を中心に人気を集めていますが、本サイトでは1日の行程で古道を歩くことを前提に服装・装備を紹介しています。また熊野古道の数ある「道」については別途「熊野古道コース一覧」を参照して下さい。


服装・装備・持ち物


服装

 服装は暑い夏場でも長袖、長ズボンが基本です。虫さされや草木との接触による肌のかぶれなどを防いでくれます。 中に着るTシャツも含めて登山用のものは伸縮性に優れ、動きやすく吸汗速乾性機能も持ち合わせておりおすすめです。


 靴は滑りにくくハイキング用の履き慣れたものを。靴によっては靴底は厚くて歩きやすいのですが、濡れたタイル状の道などでは滑りやすいものもあります。熊野古道には石畳や階段の道も多くあり雨や霧で濡れると極端に滑りやすくなる所もあるので注意が必要です。



持ち物

 紀伊半島は日本有数の高温多雨地帯です。雨具と熱中症や汗止め、日焼け止めに有効な帽子は必需品です。また丸1日の行程となるのでおにぎり等の昼食や飲料水(最低の目安として1リットル)、いざというときの為のビスケットやチョコレート、ライト等も用意しておいてもらいたいところです。近年は熊の目撃例も報告されていますので「熊除けの鈴」などもあれば安心です。この他 例をあげればきりがないのですが筆者の経験上、最低でもこれだけはと感じた持ち物を以下に列記しておきます。

着替え・タオル・軍手・虫除けスプレー・絆創膏などの医薬品 


意外と役立つもの

 近年普及が急速に進んできたスマートフォン。これが意外と役に立つ優れものです。「熊野古道は圏外の所がほとんどだからスマートフォンなんて役に立たない」と思うのは早合点です。スマートフォンのGPS機能は通信環境に関係なく使用でき自分が現在いる位置を確認できます。一部のアプリも同様です。 
 またもう一つ筆者が強力におすすめしたいのが「ガイドブック」。スマートフォンがあればガイドブックなどいらないのでは?と思うかもしれませんが、携帯やスマートフォンでは得られる情報量が限られていますし、前述のとおり電波が通じない圏外の所も多々あります。バックに入るB5サイズのガイドブック一冊でも情報量は膨大なものです。熊野古道においては文明が発達した現代にあってもモバイル端末は一冊の専門書には遠く及ばないのだということを実感させられます。


自分の体力を見極めプランニングする


 たくさんある古道のうち、どのコースを選ぶか重要な指標となるのが自分の体力。自分が1時間でどの程度歩けるのかは事前に調べておきたいところです。仮に1時間で4kmほど歩けるとしたら6時間で24kmも歩ける・・・・・というのは早合点で、普通の人は休憩も入れて3~4時間ほど歩けば疲れてしまい最悪の場合足が上がらなくなってしまいます(俗に言う「歩けなくなる状態」で観光客が遭難するもっとも多い原因のひとつ)。ですから4km×3時間(休憩含む)で12kmが大まかな目安となるわけです(1時間で4km歩ける場合)。
 また石畳みや階段の続くコースは自分の想像以上に体力を消耗しますし、平坦な道でも地面が土ではなく固い石の場合は要注意で、足や膝への反動や石の凹凸は予想以上に疲労が蓄積します。以上のような道が含まれている場合は少し余裕を持って計画した方が無難です。
 なお自分が1時間に歩ける距離はスマートフォンの歩数計アプリでも調べることができます。またおおまかな目安として初級者における登山時の歩行距離は「1日最大3時間、標高差は1時間あたり300m」となっていますのでプランニングの参考にしてみて下さい(あくまでも登山時の目安です)。
 最後に参考までに申し添えれば四国のお遍路などで毎日歩く場合は、日数を重ねる毎にだんだん体も慣れてきて1日の歩行距離も伸びて行き、最終的には1日に20~30km歩けるようになりますし(当然個人差はあります)、筆者の知り合いでは最長で1日40km以上歩いた方もいます。


交通機関

 熊野古道は朝に公共交通機関でスタート地点に移動し、バス停や駅をゴールに設定し帰りも公共交通機関で戻ってくるのが基本スタイルです。ですからプランニングにはバス停や駅があるかというのも重要な要素となりますし、交通機関の時刻のチェックも事前に確認しておく必要があります。熊野古道にはたくさんの日帰りルートがありますので自分の趣味趣向、そして体力に合ったルートを選んでください。 


熊野古道 おすすめの時期・ベストシーズン


 熊野古道がある紀伊半島は日本有数の高温多雨地帯です。しかしいくら暑いから、むしむしするからといっても虫やヒル、人体に悪さする植物などが生息する山道を半袖や半ズボンなんかで歩くわけにはいきません。この為、比較的温度や湿度が低い3月下旬~5月、10月~11月特に5月と10月が一番のおすすめの時期となっています。また筆者は都合上、12~2月にも何度か訪れた事がありますが、冬とはいえ比較的温かく空気も澄み快適に楽しむことができました。また当たり外れがありますが熊野の山々が霧に包まれる梅雨の時期も幻想的です。