熊野古道 中辺路(なかへち)



 熊野古道 中辺路は中世の頃、皇族や貴族の人々が通った「公式参詣路」です。皇族として初めて熊野詣をした白河上皇や熊野権現のお告げで三十三間堂を造った後白河上皇、そして当時は位の低かった武士の身分で何度も熊野詣をし、やがて武士の時代を切り開いた平清盛も皆この中辺路を通って熊野を目指したのです。
 現在においても中辺路は熊野古道のスタンダードルートとして知られており、ほぼ全線がバスルートと並走しており中辺路のスタート地点に当たる滝尻王子には熊野古道の歴史や文化を紹介している熊野古道館もあり誰でも気軽に歩ける人気のルートです。

熊野古道 中辺路 地図




中辺路のバス


 中辺路には田辺方面を運行する龍神バスと那智勝浦方面を運行する熊野交通の2つのバスがあり、共に熊野本宮大社へ乗り入れています。この為、滝尻方面の熊野古道を歩いた後、バスで那智勝浦方面に抜けることも可能となっています。なお各バス会社の運行路線図は別途「熊野古道へのアクセス」を参照。

 

龍神バス

上記地図中@のコースを運行 
田辺駅〜滝尻バス停(滝尻王子)〜牛馬童子口バス停〜野中一方杉バス停〜発心門王子バス停〜熊野本宮大社前バス停〜湯の峰温泉バス停


熊野交通

熊野古道から外れている為省略しましたが、新宮駅を介して熊野那智大社、熊野速玉大社、熊野本宮大社の三社を結んでいます。
 那智駅〜那智の滝前バス停〜那智山バス停
 小口バス停〜請川バス停〜熊野本宮バス停 〜熊野速玉神社(権現前バス停)〜新宮駅

 

車両搬送サービス

 中辺路ではマイカーで訪れた人の為に乗ってきた車を運ぶサービスも提供しています。このサービスは中辺路観光協会が行っているもので、対象区間は滝尻王子〜熊野本宮大社間。料金は6,000円〜12,000円で事前予約が必要となります。
予約確認先 0739-64-1470 熊野古道館


@滝尻王子〜熊野本宮ルート


滝尻王子〜牛馬童子口

所要時間5時間 距離12km 難易度 健脚
 滝尻王子は熊野の聖域の入り口とされてた王子で、現代においても熊野古道中辺路ルートの実質的な入り口と認識されており現在おいても滝尻王子から出発する人は多いです。詳細は「おすすめルート」のページを参照。


牛馬童子口〜継桜王子

所要時間2時間 距離6.5km 難易度 普通
 距離が短い上に高低差も少なく初心者にはおすすめのルート。道も大半が旧国道の舗装道で物足りなさを感じることもありますが、牛馬童子像をはじめとして見所は多数あります。なお牛馬童子は陰謀により19歳の若さで退位出家し、法皇となった花山法皇がモデルとされており、史実でも花山法皇は何度か熊野詣をした記録が残っています。ただし権力の中枢から無理矢理落とされた人物だけあって、その旅は侘びしく供の者も数名だけでした。


継桜王子〜発心門王子

所要時間5時間 距離15km 難易度 本格登山コース
 距離が長いうえに3つの峠越えがある中辺路一番の難易度を誇りますが、その一方でもっとも古道らしい雰囲気や光景を楽しむことができるルートです。なおゴール地点の発心門王子のバス停は最終が15時前なので行程管理も重要な要素となるルートです。


発心門王子〜熊野本宮大社

所要時間2時間 距離7km 難易度 普通
 熊野本宮の聖域部分を通るルートで見所が多数ある上に難易度も低いとあって熊野古道の中では一番人気を誇るルートです。詳細は別途「発心門王子」のページを参照。


熊野本宮大社〜湯の峰温泉バス停

所要時間1時間 距離3.5km 難易度 普通
 一般的に「大日越え」と呼ばれ、熊野本宮から古来より旅の疲れを癒し熊野参詣前に体を清めた湯の峰温泉へむかうルートです。道中高低差300mほどの大日山を越えなければなりませんが距離は短く、温泉を楽しむこともでき意外とおすすめのルートです。なお距離が短く往復できそうな気もしますが、湯上がりの古道歩きは汗だくになり、湯冷めをする可能性もあるので個人的にはおすすめしません。


A那智駅〜熊野本宮大社

 

熊野川舟下り

所要時間1時間30分 距離16km
 その昔中辺路を歩いてきた参詣者は熊野本宮大社に参拝後、舟で熊野川を下り新宮にある熊野速玉神社に向かいました。この為本宮〜新宮間の熊野川は「川の参詣道」として世界遺産に登録され、これを機に舟下りも復活しました。

川下り問い合わせ先 熊野川舟センター 0735-44-0987(舟下りは完全予約制です)


熊野速玉神社〜三輪崎駅

所要時間1時間50分 距離6.5km 難易度 普通
 熊野速玉神社に参詣した後は海沿いを南下し熊野那智大社を目指します。だたし現在の海沿いの道は道路整備が進んでおり、古道らしさが色濃く残る熊野速玉神社から三輪崎駅のルートが一般的に認知されています。
 このルートは途中住宅街も通りますが風光明媚な熊野灘の光景が楽しめ、高低差も少ないことから癒しの入門ルートとなっています。


B那智駅〜熊野本宮大社


那智駅〜熊野那智大社

所要時間2時間10分 距離7km 難易度 普通
 那智勝浦町までくればゴールである熊野本宮大社まで7kmほど。長かった中辺路のルートもいよいよ終わり。熊野三山巡礼の旅の総仕上げともいえるルートで別名「曼荼羅の道」ともいわれている人気のルートです。なお詳細は別途「熊野那智大社」のページを参照。


熊野那智大社〜小口バス停

所要時間5時間30分 距離15km 難易度 本格登山コース
 熊野参詣を終えたあと本宮へ向かう帰路にあたるルートの一部で別名「大雲取越(おおぐもとりごえ)」。中辺路中最大の難易度といわれています。距離が長く高低差も800m前後。道中は中辺路最大の難所とされる越前峠を擁し、食堂や売店も無い完全なる幽玄の道。妖怪、亡者の出会い伝説も残るものこのルートを歩く場合は十分な装備と時間に注意し、場合によっては小口バス停近くにある宿泊施設の利用も検討しましょう。


小口バス停〜請川バス停

所要時間4時間30分 距離13km 難易度 健脚
 こちらも上記の大雲取越と同様帰路にあたるルートで「小雲取越(こぐもとりごえ)」と呼ばれています。大雲鳥越を幽玄と表現するならこちらは雄大。道中熊野の山々の眺望や熊野川流れを望むことができ、高低差も文字が表すとおり大雲鳥越ほどきつくはありません。なお熊野古道中辺路は熊野本宮がゴールとなりますが請川バス停から先は歩道の無い国道168号線となるので本ルートの請川バス停が実質的な最終ゴール地点となります。