熊野古道 コース一覧


 
 熊野古道とは聖地 熊野への参詣道のこと。その長く険しい道のりを歩くこと自体が修行とされ人々は幾多の困難を乗り越え熊野へ向かったのです。この信仰は平安時代末期から始まったとされ、以来多くの人々が聖地目指して歩き、今日世界遺産に登録された癒しの道として親しまれているのです。ここ数年は熊野古道を歩く人の数も大幅に増えましたが、その大半は欧米系の外国人の皆さん。その昔この道を歩いたであろう人達が現在の光景をみれば仰天するのではないでしょうか?

 熊野古道は紀伊半島を縦横に走り、「紀伊路」「小辺路」「中辺路」「大辺路」「伊勢路」の5コースがあります。このうち中世時代の公式参拝コースで現在もメインコースと位置づけられているコースが、中辺路コースです。田辺から熊野本宮大社を目指し、熊野川を舟で下り熊野速玉大社へ。そして最後に熊野那智大社に向かうのです。
 これは1日で踏破するのは不可能で数日かけて熊野詣でをしていたわけですが、現在は各熊野古道の代表的な区間を1日かけて歩くスタイルが一般的となっています(行きと帰りは公共交通機関を利用します)。

熊野古道 地図
難易度は 本格登山コース>健脚>普通の順になっています。



紀伊路


 窪津王子(大阪市)〜出石王子(田辺市) 約120km 難易度:普通 
 元々は京都を起点とし、淀川を舟で下り大阪天満橋から大阪湾沿いを南下してくるコースでしたが。現在は淀川舟下りは所略され天満橋の船着き場近くの窪津王子を起点としています。中辺路と共に中世の公式参詣路でしたが、現在はほとんどが生活道路や国道、JRに取り込まれ、古道が残る和歌山県の一部区間ではミカン畑と梅林が広がるのどかな光景が特徴のコースとなっています。 古道の面影はほとんど残されて無く世界遺産にも登録されていませんが、熊野信仰が始まる以前からの道、つまり奈良・飛鳥時代の万葉古道でもあります。


中辺路(なかへち)


出石王子(田辺市)〜熊野速玉大社(新宮市) 約80km 難易度:健脚 
 数ある熊野古道のコースの中でもっとも人気のあるコース。道はしっかりと整備されている上にもっとも古道らしさを味わえる初心者でも安心のコース。難易度は「健脚」としていますが、峠道の数は少なく行程日数さえ確保できれば普通レベル。詳細は別途「中辺路」のページで紹介しています。


小辺路(こへち)


高野山(高野町)〜熊野本宮大社(田辺市) 約70km 難易度:本格登山コース 
 真言密教の総本山である高野山から熊野本宮大社まで紀伊半島を縦断するコース。熊野への最短コースであった為、庶民がよく利用し道が開けていったといわれていますが、それでも最高峰の伯母子岳1344m越えをはじめ険しいコースが続きます。以前より野営をしながら踏破する本格派の方々に人気がありましたが、近年は「ロングトレイル」の文化が根付いている西欧の方々も多く訪れるようになりました。


大辺路(おおへち)


出石王子(田辺市)〜浜の宮王子(紀伊勝浦町) 約100km 難易度:普通 
 紀伊半島の海沿いを歩くコースで大部分が国道やJRに取り込まれています。もっとも難易度の低いコースで、風光明媚な光景が続きますが、バスや電車の本数は意外と少ないので油断していると待ち時間で余分な時間を要することも。 


伊勢路


伊勢神宮(伊勢市)〜熊野本宮大社(田辺市) 約170km 難易度:普通 
 日本神話の最高神「天照大神」が鎮座する伊勢神宮から熊野速玉大社を経て熊野本宮大社へ行くコース。別名「東熊野街道」とも呼ばれています。伊勢路自体の歴史は古く平安時代から存在していたことが確認されていますが、実際に多くの人が詣でるようになったのはお伊勢詣りが盛んとなる江戸時代の頃から。なお詳細は別途「伊勢路」のページで紹介しています。なお世界遺産に含まれている区間はありません。


大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)


吉野山(吉野町)〜熊野本宮大社(田辺市) 約120km 難易度:本格登山コース 
 標高最高地点は1915mにもなる筆者も入り口近辺にしか足を踏み入れたことのない完全な本格登山コース。厳密には修験道の修行の道で熊野古道とは少々意味合いが異なるのですが、熊野古道や高野山などと共に世界遺産に登録されていることもあり、熊野古道と一緒に紹介されていることが多いので参考までに紹介してみました。