世界遺産白神山地のブナ林



 白神山地は青森県から秋田県にまたがる広大なブナの原生林で約1万7千ヘクタールが世界遺産に登録されており、世界遺産登録地域にはブナの原生林を主体とする世界でも最大級の貴重な手つかずの自然が広がってます。白神山地は広大な地域である為、入山箇所は数カ所にわかれていますが、実際人々が観光できる場所は世界遺産の外側に設けられた緩衝地帯であり、世界遺産である白神山地の原生林の中に入山していくのは相当の技量を持った人間でも難しいとされています。
 白神山地は世界遺産に登録されてから色々な施設が整備されていますがもっとも有名なのが「暗門の滝」入り口近くにある「アクアグリーンビレッジANMON」という施設で、ブナ原生林の探索や暗門ノ滝散策への拠点として利用されています。


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ブナ林の光景


 白神山地の散策コースは「マザーツリーコース」「ブナ林散策路」「暗門渓谷ルート」といくつかありますが、本ページではこれら各散策コースの光景を写真で紹介します。


マザーツリーコース

マザーツリー周辺のブナ林 白神山地のブナ林の象徴ともいえるマザーツリーへつづく散策コース。マザーツリーは津軽峠の駐車場から徒歩で数分の所にあり、道中はブナの原生林が生い茂る道を進んでいきます。






ブナ林散策路コース

白神山地 ブナ林トレッキングコース 暗門川右岸側の山中にあるブナ林の散策コース。暗門川周辺には山中と暗門川沿いの2通りのトレッキングコースがありますが、ブナ林を見学するのが目的の場合は山中のブナ林散策路コースを選ぶとよいと思います。なおブナ林散策路コースを選んでも途中で暗門渓谷ルートと合流し、最大の観光スポットである暗門の滝へ行くことができます。 


暗門川のブナ林

白神山地 暗門川の橋 暗門川は両岸が切り立った崖となっており、ブナ林はその崖の上に形成されています。これらの断崖からはブナ林に育まれた湧き水が流れ出ている箇所がいくつもあり、白神の自然の豊かさを物語っています。
暗門川のブナ林 暗門川は両側の切り立った崖を縫うようにして流れており、差し込む日差しが白神山地の緑を引き立てます。このように暗門渓谷ルートはブナ林というよりは渓谷美にその見所があると思います。



ブナ林の働き


 ブナは木へんに無と書いて昔から「何の役にもたたない木」とされてきました。腐りやすい上に加工後に曲がって狂いやすい性質を持ち、唯一薪などの燃料として利用されていたものの戦後の化石燃料の普及により文字通り使い道のない木となり伐採され杉や檜といった樹木に植え替えられていきました。
 しかしこれらは人間の目から見た勝手な考えで自然界においては大変重要な働きを担っています。
 まず毎年谷底を埋め尽くすほど成る木の実はドングリや栗と同様栄養価の高いもので、小さな昆虫から熊といった大型動物まで多くの生物の食料となり食物連鎖の根幹をなしています。また毎年山のように落葉する葉は多くの微生物や昆虫たちによって分解されフカフカのベットのような腐葉土の層を形成します。この腐葉土の層は雪解け水や雨を貯水する働きを持っており、いわば巨大な自然のダムのような働きを担い流域の水害を防いでいるのです。この他腐葉土の層は栄養分が豊富であり、そこを通過した水はきれいに濾過され栄養分の高い水となり流域の土地や海を潤わせます。このブナ林の水は海草類や貝類の成長に非常に重要な働きをなし、近年は牡蠣やホタテ、海草類の養殖業者が海から離れた水源地にブナの木を植える試みも多く見られるようになりました。
 他にも二酸化炭素の吸収や動物たちの住み処など自然界にとってブナ林は大切な働きを担っているのです。



川魚

白神山地の川魚 暗門川を泳いでいる川魚。白神ではブナ林を流れる川の中も自然豊かな世界となっています。なお白神山地の暗門川周辺は禁漁区となっていて通年を通して魚釣りをすることはできません。また白神山地全体も保護区になっておりブナの伐採や動植物の捕獲は禁止されています。


キノコ

白神山地のキノコ  ブナ林で見つけたキノコ。白神山地周辺はキノコがたくさん採れることでよく知られており、ブナ林の中でも多くのキノコを見つけることができます。これはブナの木の成長サイクルが短く(平均寿命が200年と他の樹木に比べ短い)倒木が多いことや毎年膨大な落ち葉の層が形成されることが理由となっています。ただし、これらのキノコは保護区域の為、採取することはできません。



白神山地が世界遺産に登録された理由


 法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、屋久島とともに、1993年、日本で最初に世界遺産に登録された白神山地。
 白神山地の世界遺産登録理由は「人の影響をうけていない原生的なブナ林が世界最大級の規模で残され、人為的な影響をほとんど受けていない状態にあること」で、ユネスコにおける該当する登録基準は「陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。」ということになっています。
 私たちはこの貴重な世界遺産を守り後生に伝える大切な役割を担っているのです。


駐車場