弘前城の天守閣



 現在の弘前城天守閣は三層櫓になっていますが、当初は五層の天守閣で城も津軽為信、信牧と二代にわたるあしかけ8年の歳月をかけて作られた立派なもので、5万石ほどの外様大名には破格の規模のものでした。しかし1627年に落雷により天守閣は焼失してしまいます。この時は天守閣に吊されていた鐘が熱で真っ赤に燃え、その灼熱の鐘が地下の火薬庫まで焼け落ち、火薬に引火し大爆発をおこしたと伝えられています。天守があった櫓は防御施設であった為、大量の武器と共に鉄砲に使う火薬もたくさん保管されていたのです。ちなみにこの時藩主は弘前城より20kmほど南にある碇ヶ関地区にいたそうですが、弘前城が爆発した際の火柱は藩主がいた碇ヶ関からも見え、爆発の際の飛散物は8kmほど先まで飛んでいったそうです。
 その後約200年間天守閣の無い時代が続きますが(武家諸法度により城の増改築は厳しく制限されていました)、津軽藩九代藩主寧親(やすちか)公が1810年、天守櫓造営の目的で幕府の許可のもと現在の三層の天守を建設し現在に至っています。なお雷により焼失した五層の天守は本丸南西部を守っていた櫓で現在は石垣のみが残されています。また現在見ることができる三層の天守は本丸南東部を守る櫓です。 


※現在天守は石垣の補修工事の為、本丸広場へ曳屋されていますが従前通り内部見学することは可能となっています。


弘前城の天守閣は小さい?


 弘前城を訪れた観光客のなかには弘前城の天守が自分の予想以上に小さく驚かれる方も多いと聞きます。弘前城の天守閣は本丸御殿の四隅を守る櫓のうちのひとつで、私達が一般的に連想する殿様が住むような本丸の天守とは少々異なります。元来「天守」とは居住区ではなく防衛施設であり、弘前城の天守は昔の姿を正しく伝えているといえます。ですから弘前城の天守は他のお城の天守と比べ小さく、市役所の屋上から眺めている観光客からは「本丸が見えない」とか「天守閣が見えない」などといった声も聞こえきます。しかし弘前城の天守は江戸時代から残存する数少ない天守のひとつで、当時の建築技術や設計思想を今に伝える貴重な建造物なのです。現在弘前城天守の中は資料展示館になっていて自由に見学できるようになっており、三階最上階から眺める津軽の霊峰岩木山の光景はまさに絶景です。



弘前城の天守

弘前城 天守  弘前城の本丸広場から見た天守。弘前城の天守は小規模ではあるが江戸時代から残されているものとして、全国の城郭天守でも代表的なもの。なお江戸時代からの残存天守は12箇所あり東日本では弘前城だけとなっています。

天守と観光客

弘前城天守と観光客 弘前城の天守をバックに記念撮影をする観光客。この日はちょうど「菊と紅葉まつり」が始まったばかりで、天守前にはわずかに開花した菊の花のモニュメントが飾られていました。

たか丸くんと天守

たか丸くんと弘前城の天守  弘前城の天守。弘前城の天守は江戸時代以前から残存する日本の天守12箇所の一つに数えられ、文化的価値も高い。正面のキャラクターは「たか丸くん」といい弘前城築城400年記念祭のマスコットキャラクター。

天守からみた岩木山

弘前城天守から見た岩木山  弘前城の天守から見た弘前城公園と岩木山。弘前公園内には名峰岩木山のビュースポットが何ヶ所かありますが天守閣の鉄砲狭間から見る光景もその一つです。

弘前城資料館(天守閣) 館内の光景

弘前城資料館  弘前城の天守閣は資料館になっており、展示物は当時使用されていた品々が中心で鎧甲や刀、槍、鉄砲といった武具が展示されています。またなかには「鎖がま」といった変わった武器まで展示されています。
弘前城天守閣のなか 弘前城天守閣内部の光景。ご覧の通りかなり急な階段が3階まで続いています。手すり無しでは上り下りもままならないほど急な作りで、足腰の弱い人には少々厳しい環境となっています。



弘前城天守閣豆知識


 弘前市の南西部にある碇ヶ関地区には国上寺という寺があり、弘前城最初の天守閣が焼失した時、2代目藩主津軽信枚公はこの国上寺の不動明王にお参りしていて弘前城を留守にしていました。
 国上寺にある不動明王は別名「汗かき不動」と呼ばれ、安置されている不動明王が汗をかくと不吉な事が起こるといわれていました。そんな汗かき不動がある日びっしょりと汗をかいていたので、不安に思った住職は急ぎ藩主の津軽信枚にこのことを伝えます。最近領内では地震や災害ばかりおき心中穏やかでなかった津軽信枚は国上寺の不動明王へお参りにでかけます。弘前城の天守が焼け落ちたのはまさにこの汗かき不動参りの直後のことだったのです。
 なお天守が焼失した当時、弘前城は鷹岡城(鷹が多くいる丘の意)と呼ばれていましたが、天守焼失を機に縁起直しで名前を「弘前城」に改めます。これが現在の弘前市の名前のルーツとなっているのです。