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遠野市 旅行記「遠野物語」


 遠野物語とは民俗学者である柳田國男(1875年〜1962年)により編纂された岩手県遠野地方に伝わる逸話をまとめた説話集です。初版から半世紀を経た昭和30年代におこったの民俗学ブームで注目を浴び、遠野市が観光都市として世に知られるきっかけをなした説話集で現在遠野市に点在する観光名所、史跡のほとんどが遠野物語縁のものとなっています。

柳田國男と佐々木喜善

 柳田國男はもともとは農商務省の高等官僚で東北地方の農村の実態を調査していたのですが、やがて民俗学に関心を持つようになり「日本人とはなんであるか」という疑問を持つようになります。そして日本各地で言い伝えの残る「山男」こそ原日本人の生き残りであるという仮設を持つようになります。そんな時に知り合ったのが遠野市出身の佐々木喜善(1886年〜1933年)です。佐々木喜善は三木露風や北原白秋などとも交流を持つ少々小洒落た文学志望の青年でしたが、柳田國男は後に佐々木喜善は訛りが酷かったとも語っています。この佐々木喜善から遠野地方の逸話を聞いた柳田國男は山男が非常にたくさん登場することに驚き、自分の仮設を立証できるのではないかと確信し遠野を訪れるのです。なお佐々木喜善縁の家系は遠野物語でも何度か登場し、大叔母は山女として不思議な運命をたどっていますし、佐々木家のすぐ隣には姥捨て山の機能をもったデンデラ野が広がっています。また佐々木家には座敷童子も住んでおり佐々木喜善の代に家を出て行く姿が目撃され、その後佐々木喜善は財産を全て処分し仙台に移り住み47才で亡くなっています。

そもそも遠野物語とは?

 遠野物語とは前述したように遠野地方に伝わる逸話をまとめたものです。遠野地方では冬の農閑期は特にすることもなく夜になると各々燃料となる薪と酒、餅や漬物をもって宿元となる家に集まり夜通し集落のうわさ話やゴシップネタ、そして自ら体験したりよその集落から聞いた不思議な話などを語り合ったそうです。そうして長年にわたり語り継がれてきた世間話が遠野物語の原点となるのです。

遠野物語の特徴

 遠野物語の内容は河童、座敷童子など妖怪に纏わるものから山男、マヨヒガ(山中に現れる豪邸で家の中の物をなんでもひとつ持ち帰ると裕福になれる)、神隠し、山の神など山に関するもの、死者などに関する怪談、さらには祀られる神、オオカミや馬といった動物に関するもの、そして行事など多岐に渡りますが周囲を北上山地に囲まれ山の恵みや脅威と共に生活してきた影響か自然や山に関する逸話が多いのが特徴です。そして一番の特徴といえるのがオシラサマ、座敷童、山男、この三者の逸話が他の地方に比べ飛び抜けて多いことです。

座敷童子

  座敷童子といえば同じ岩手県の二戸市にある金田一温泉が有名ですが、数でいえば遠野の座敷童子は群を抜いています。他の地方では座敷童子がいる家は村に一軒あるかないかですが、遠野では集落、町内単位で座敷童がいました。記録では土淵村の小学校にまで現れ1年生の小さな子ども達のクラスに紛れ込んで一緒に遊んだり、体操の時などに余計な声を出していたそうです。なお記録では遠野で最後に座敷童子の姿が見られたのが昭和32年で後に破産する醸造会社の社長宅から2人の見知らぬ子供が出ていくのが目撃されており、この時は街の中心部での出来事で朝の5時頃という時間帯だった為、牛乳や新聞の配達人、豆腐屋の従業員など多くの方が目撃し町は大騒ぎになったそうです。
 座敷童子の特徴としてはトタトタと家の中を走り回る音を立てたり、泊まりに来た客人の枕を蹴飛ばしたり、囲炉裏や庭先に小さな足跡を残したりと自由気ままにすごしているようですが、中には家人の留守中ににわか雨が降ると洗濯物を取り入れてくれたりする座敷童子もいたそうです。姿は3才から10才くらいまでの子供で性別はばらばらですが2人組で姿を現し、姿を現すときはその家を去るときが圧倒的に多く目撃されています。一般的には座敷童子が住み着くとその家は繁栄し、家を去ると没落する福の神といわれていますが、家の盛衰を感知する家運予知の家霊ともいわれています。なお性格は無邪気な子供そのもので座敷童子があまりにうるさいので「うるさい」と怒ったら、その日から座敷童の気配はなくなりやがてその家は破産したという話しも残っています。もし座敷童子があなたの家に住み着いたら多少うるさくても優しく遠くから見守るのが幸せをつかむ一番良い方法なのかもしれません。

鬼灯の冷徹 座敷童子
上の絵は江口夏実さん作の漫画「「鬼灯の冷徹」に登場する座敷童子(左右の女の子)。座敷童子が登場する漫画は数多くありますが、本作品に登場する座敷童子が遠野の座敷童子のイメージにもっとも近いと感じたのでコミックより引用させていただきました。


オシラサマ

 オシラサマも座敷童同様東北地方全般に言い伝えが残る家の神様ですが、やはりオシラサマがいる家の数は遠野地方が一番多い。なおオシラサマについては別途「伝承園とオシラサマ」のページで詳しく紹介しています。

山男

 山男はその名のとおり山に住む特殊な能力を持った大男で、柳田國男を遠野民話の世界に引き込んだ張本人でもあります。性格は逸話によって様々で、山でマダの皮を剥いでいた男の作業を勝手に手伝いお礼として男の餅を全て平らげたうえで「毎年何月何日に餅を三升ほど庭に出しておいてくれ1年分のマダの皮を持って行ってやろう」と勝手に約束し男が半信半疑ながら約束の日に餅を用意しておくと馬二頭分ほどのマダの皮をもって現れ、以後毎年約束の日にマダの皮をもって現れたという少々律儀でユーモラスなお話や、村の娘をさらって自分の嫁にし(山男にさらわれて嫁になった女が山女です)、生まれてくる子供を全て食い殺してしまったりといった恐ろしい一面もあります。ただ一般的に共通しているのは身の丈2mほどの大男で全身に荒い毛を生やし力が極めて強い。そして普通の村人に化けたり人に幻覚を見せたりと不思議な術も心得ているということです。なお当時は様々な理由から村を捨て山で生活する人もおり山男は座敷童子やオシラサマと同じく遠野の人々にとってはごく身近で当たり前の存在だったようです。柳田國男はこの山男こそ原日本人の生き残りであると考えたそうですが、その答えは遠野物語を読んだ限りでは得ることはできなかったようです。


南部語り部
南部語り部


遠野神楽
遠野神楽


遠野 伝承園とオシラサマ
伝承園とオシラサマ


遠野の馬
遠野の馬


遠野郷の原風景
遠野郷の原風景

遠野物語の背景にあるものは

 一見すると古くから言い伝えられてきた逸話集にみえる遠野物語ですが、その中身は遠野地方の風習や伝統、自然に対する畏怖が込められ昔の人がどのような生活をし自然をどのようにとらえていたかを垣間見ることができます。また逸話のひとつひとつにはそれぞれ元になる現実の世界があり、座敷童子や河童の背景には当時口減らしの為にやむなく間引きした子供達の姿があり、オシラサマはどんな金持ちでも1年で3頭の馬が死ねばその家は破産するとまでいわれ家族同様に接してきた馬や冷涼な気候の寒村で貴重な収入源となっていた蚕に対する感謝の念があるとされ、山男には山賊やよその土地から流れてきた人に娘をさらわれた家族に対する慰めの意味が込められていると云われています。
 現在遠野物語は現代語に編集され誰でも簡単に読めるようになっています。そのひとつひとつは短編ながらも昔から語り継がれてきただけあって分かりやすくオリジナリティーに富み、意味のある内容になっています。皆さんが住む町の図書館でも必ず一冊は置いてあると思いますので、もし機会がありましたら一度読んでみたり、幼い子供に読み聞かせてあげたりしてみてください。
 あと遠野市を訪れる予定のある方は事前に遠野物語を一読しておくことを強くおすすめします。遠野市の観光名所、史跡のほとんどが遠野物語に縁のあるもので、事前に遠野物語を読んでいるのといないのとでは旅の充実度がまるで違ってきますよ。
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