熊野那智大社と八咫烏



 熊野那智大社本殿は元々那智の滝近くにあったのを1700年ほど前、仁徳天皇の時代(317年)に現在の地に遷したとされており、いわば那智山の中心となる大社。主神は熊野夫須美神の他十二柱で古くから修験修行の地として、また観音霊場として信仰を集めてきました。この熊野の神々の使いとされているのが3本足の鴉 八咫烏です。

八咫烏(ヤタカラス)
 言い伝えによれは下鴨神社に祀られている賀茂建角身命(賀茂一族の祖とされています)の化身で3本足のカラスとされています。神代の時代、宮崎県の高千穂に住んでいた神武天皇(初代天皇)が東征の際に八咫烏に導かれ那智の浜から大和の地に進み都をつくることができたといわれています。また592年には政変により都を追われた蜂子皇子が庄内由良港(現在の山形県)に上陸した際も八咫烏と思われる三本足のカラスに導かれ現在の出羽三山を開山したとされています。これらの言い伝えから一般的には神の使いで案内神として知られていますが、古代日本における賀茂一族由来の実話を元に生み出されたされたものではないかとも推測されています。また熊野三山、出羽三山ともに修験道の聖地であり、信仰の場所も三山(3箇所)と共通しているのも興味深いところです。


 2014年にリオデジャネイロオリンピック大会(以下「リオ五輪」)出場を目指すU-21(21歳以下)の日本代表監督就任した手倉森誠氏はサッカー日本代表のエンブレムである八咫烏が熊野の神の使いであることを聞き、大阪からレンタカーで熊野の地を訪れ参拝しました。その後2016年にリオ五輪最終予選グループリーグを五戦全勝で勝ち抜きオリンピック出場を決めたのは記憶に新しいところです(本戦のリオ五輪は残念な結果に終わりましたけど・・・・)。


熊野那智大社


熊野那智大社 聖地那智山の要となる熊野那智大社。本宮大社、速玉大社とあわせて熊野三山といわれている。実際見てみると建物自体は決して大きいものではないが、朱塗りの社殿からは厳かな空気がピリピリと伝わってきます。


熊野那智大社 石碑 写真ではわかりにくいが、那智大社の本殿は第一殿から大五殿まで横一列に並んでおり、主神は第四殿に鎮座している。なおこれら本殿での一般参拝はできない。


八咫烏(ヤタカラス)


八咫烏(ヤタカラス) 熊野那智大社山門前に建てられている八咫烏(ヤタガラス)。八咫烏は神の使いとされサッカー日本協会のシンボルにも採用され日本代表にユニフォームにその姿を見ることができる。

世界遺産の石碑


熊野那智大社の石碑  熊野那智大社に向かう参道の入り口にある石碑。ここに来るまでは何段もの石段を登って来る為、足腰はへとへとになりますが、この石碑があるところから熊野那智大社はもうすぐ。