恐山 菩提寺



 恐山には「恐山菩提寺」「円通寺」「奥の院」と色々寺社がありますが、これらは各々別の建物で、このうち私達が一般的に「恐山」といっているのは恐山菩提寺のことです。また円通寺はむつ市の中心街にあり恐山菩提寺の本坊を務め、奥の院は恐山菩提寺と直線上に位置する地蔵山及び釜臥山双方にある聖地です。
 このページでは主に恐山菩提寺を中心に紹介していきたいと思います。

 恐山菩提寺の開山は862年で慈覚大師円仁が開山したとされています。慈覚大師円仁は天台宗開祖最澄の弟子で中尊寺山寺 立石寺数々の寺を開山した事で有名な高僧。開山の由来は慈覚大師円仁が「東へ向かうこと三十余日、霊山ありその地に仏道をひろめよ」との夢のお告げに従い、諸国を行脚し辿り862年に着いたのが、恐山であると言われています。

開山(営業)時間 6:00〜18:00

開山期間 5月1日〜10月31日

入山料 500円

恐山菩提寺温泉
 温泉は入山料を払えば誰でも無料で入ることができ、境内には4つの湯小屋があり、強度の硫黄泉となっています。なお温泉の詳細については別途「恐山温泉」を参照。



恐山境内の光景


恐山境内の光景 恐山菩提寺に一直線に伸びる参拝道。自然豊かな下北半島のほぼ中心部に位置しながら火山性のガスの為、植物や小鳥の姿は皆無で境内は妙に静か。この日は無音の空間にトンボだけがたくさん飛び回っていました。
恐山菩提寺  恐山菩提寺の光景。菩提寺の大きさは少々小さめですが例大祭や日常の法要はここで行われます。なお菩提寺の正式名称は「本尊安置地蔵殿」といい祈願祈祷の道場でもあります。


塔婆堂


恐山 塔婆堂  恐山の塔婆堂。山門の近くにあるのですが、立てられた塔婆の大きさにはある種の異様さを覚えます。名前の由来は卒塔婆を納めるお堂という意味からきているのだそうです。
恐山の卒塔婆 塔婆堂に立てられている卒塔婆。普通のお墓で見る卒塔婆と比べると長さ、太さ共に段違い。訪れていた観光客は「ずいぶん大きな塔婆だな」と驚いていました。


地蔵山からみた恐山菩提寺


地蔵山から見た恐山 地蔵院裏手の地蔵山から見た恐山。奥に見える湖は「宇曽利湖」。青く澄んで霊場にふさわしい光景ですが、火山性のガスの影響で宇曽利湖の水は強度の酸性となっており、生息する魚はウグイ1種類のみとなっています。


恐山信仰


 恐山は元々宇曾利山(うそりやま)と呼ばれていましたが、その地獄谷のような光景から「うそり」が「恐れ」となりやがて恐山と呼ばれるようになったと言われています。開山は天台宗の高僧「慈覚大師円仁」とされていますが、その後禅宗、曹洞宗と変遷していきます。しかし人々にとっては宗派など関係なく「死者は常に生きている者から供養を求めている」という考えのもと宗派を超越した霊場となったのです。

恐山の本尊

 恐山の本尊は延命地蔵菩薩。これは古くから最も庶民に親しまれている地蔵菩薩(簡単にいうとお地蔵様)のこと。地蔵菩薩には様々な功徳利益がありますが、一般大衆にひろく根付いたためか、それぞれの功徳利益を専門に行う地蔵菩薩が信仰されるようになりました。延命地蔵菩薩もそういった地蔵菩薩のひとつで、新しく生まれた子を守り、その寿命を延ばすといわれ、後世には短命・若死を免れるため信仰されました。


八角円堂と賽の河原


 八角円堂は恐山菩提寺から西に数百メートルほどの所にあるお堂で死者が降りてくる場所といわれ、堂内には死者がいつ来てもよいように家族を失った遺族の方が納めた一揃えの服が納められています。また賽の河原は八角円堂と極楽浜の間に広がる荒涼とした砂浜で、境内では一番西の奥に位置する地域です。

八角円堂

恐山 八角円堂  八角円堂の光景。お堂自体は最近立て直しされたようで比較的新しい建物のように感じました。なお場所は恐山菩提寺より徒歩で5分ほど離れたところにあります。
恐山 八角円堂 内部の光景  八角円堂内部の光景。亡くなった方々の為に衣服が納められている。服は普段着からパジャマ、スーツと様々で他にはおもちゃや本なども収められていました。

八角円堂の裏手

恐山八角円堂裏手の光景  八角円堂裏手の光景。死者はこの森(山)から八角堂に降りてるといわれ、お盆が近くなると下界でも不自由しないように手ぬぐいが木々に結びつけられます。なおこの森の奥は小さな小川が流れて行き止まりとなっていました。
恐山の小川 左の森をさらに奥に進んだ光景。森の中を流れる小川に花が添えられています。また道にはよく見ると古くなって錆びた小銭が無数に落ちていました。

賽の河原

恐山 賽の河原  恐山境内西側に広がる「賽の河原」。火山性のガスが吹き出る賽の河原には石を積み上げた無数の供養塔があります。この供養塔は親より先に亡くなった幼い子供が罪滅ぼしの為に賽の河原で石を積むという話に基づき遺族の方々が積み上げたものです。
恐山の光景  荒涼とした恐山の光景。草木ひとつ生えてない荒涼とした土地に積み上げられた無数の石。また時には人の笑い声にも聞こえる風車の回る音。蓮華八葉を覆う雲に硫黄の臭いと吹き出る音。ある種の神秘さを感じるこの雰囲気は実際に訪れた者にしか分からないと思います。